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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
小さくなってしまった男の子が大きな世界で奮闘するお話。
朝起きると見たことのない世界が広がっていました。優しい生き物たちに助けられ…
自分が普段気が付かないことに気がつけるお話です。
ぐっすり眠っていたまーくんは、大きな物音で目が覚めました。あたりを見回すと、自分よりもうんと背の高い草が見渡す限りに広がっています。びっくりしたまーくんは「パパ!ママ!」大きな声で家族を探しまわりました。
すると「どうしたの?」どこからか声がしたので振り返ってみると、大きな芋虫が心配そうにこちらを見ています。「うわー!」おどろいたまーくんは慌てて逃げ出しました。「あれは一体なに!?」
走りながらよくよく周りを見てみると、空をヒラヒラ飛んでいるチョウも、草の上に止まっているてんとう虫も、ピョンピョンはねているバッタも、なんと自分よりうんと大きいではありませんか。「なにこれ!?」
恐ろしくなったまーくんは、ついにその場に座り込んでしまいました。大きな声でワンワン泣いていると、巨大なネズミが「どうしたの?」と声をかけてきました。ここはへんてこな世界だとまーくんが泣きながら話すと
「そうじゃないわ。あなたが小さくなっただけなのよ。」ネズミは優しく教えてくれました。あたりを見回してみると、赤いすべり台に青い椅子のブランコ、黄色い登り棒に大きな鉄棒…見たことあるものがたくさんありました。
「もしかしてここ…いつも遊びに来ている公園!?」目をパチクリしていると「知っている場所でよかったわ。」ネズミが優しくまーくんの頭をなでました。少し落ち着いたまーくんは、公園を探検しはじめました。
すると、公園には空き缶にペットボトル、お菓子の空袋など、沢山のゴミが落ちていました。そのゴミはまるで大きなビルのようにそびえ立ち、小さな生き物達の道を塞いでいてあるきにくくてたまりません。「こんなにゴミが落ちていたんだ…」
まーくんはアリの巣の上に落ちていたお菓子の箱をどかして、アリ達を助けてやりました。公園の隅っこまで運んだお菓子の箱に落ち葉を入れてベッドを作りはじめると「僕らも手伝うよ!」助けてもらったアリ達が葉っぱ運びを手伝ってくれました。
ベッドが完成すると、今度はペットボトルのゴミに道を塞さがれて、家に帰れなくなってしまったダンゴムシの子供が見えました。まーくんとアリ達でペットボトルを動かすと、ダンゴムシは嬉しそうに家へと帰っていきました。
ダンゴムシを見送っていると、人間に突っつかれたのか葉っぱから落っこちそうになっているサナギが見えました。「小さな生き物の世界はこんなに大変なんだ…」まーくんは友達と虫取りをして遊んでいたことを思い出していました。
小さくなったことで、まーくんは普段気が付かないことに気づくようになりました。芋虫とネズミ、アリとダンゴムシ、サナギから羽化したチョウチョとも友達になりました。「この世界も楽しいかも!」そう思いながら眠りにつくと…
見慣れた自分の部屋で目が覚めました。「夢だったのか…」少しがっかりしながらベッドを出たまーくんは、いつもの毎日が始まりました。でもその日から少し変わったこともあります。
まーくんは公園でゴミ拾いをするようになりました。それに、どんなに小さな生き物でもとても大切にするようになりました。小さくなったことで気がついたこを忘れないように、まーくんは世界の見かたを少し変えるようになったのでした。
おしまい