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のんびり暮らしていた一人ぼっちのおばけ。
ある時小さな女の子が訪ねてきました。怖がらない女の子はおばけの家へ通うようになり…
おばけと女の子の友情のお話。
ある古ぼけた家に小さなおばけが住んでいました。その家はもうずっと誰も住んでいなかったので、おばけは誰にも見つからず、誰にも邪魔されず、のんびりと暮らしていました。
ある日、いつものようにふわふわと家の中を散歩していると、「こんにちは、おばけさん」女の子の声が聞こえました。みると玄関に小さな女の子が立っています。
初めて話しかけられたおばけは「…ぼくが…見えるの?」柱の陰に隠れながら言うと、女の子はにっこりうなずきました。それから「またね!」と手を振って、どこかへ行ってしまいました。
何日かすると「こんにちは、おばけさん」また女の子の声が聞こえてきました。おばけが恐る恐る顔を出すと「これね、あげる!」女の子は嬉しそうにおばけの似顔絵をくれました。
それからも女の子はおばけの家へやってくると、折り紙でつくったおばけや、紙コップでつくったおばけの人形をプレゼントしてくれました。おばけはいつの間にか、女の子が来るのを楽しみに待つようになりました。
でもある日、ぱったりと女の子が来なくなりました。毎日そわそわ窓の外を眺めますが、いくら待っても女の子は来ません。「どうしたんだろう?」おばけは初めて誰かの心配をしました。すると「こんにちは、おばけさん」女の子の声が聞こえてきました。
久しぶりに聞こえた女の子の声におばけは急いで玄関へ向かいました。「最近来なかったね。なにかあったの?」おばけが心配そうに聞くと「あのね、遠くにお引越ししたの。今日はお友達にさようならをしにきたんだよ。」女の子はちょっぴり悲しそうに言いました。
「もう会えないの?」おばけも悲しそうに言うと「あのね、私のお家新しいの!屋根裏部屋があってね、おばけさんも住めるよ!私のお家に一緒に住もうよ!」おばけは驚きました。そんな事言われたのは初めてです。
嬉しかったおばけはありがとうとお礼を言いました。それから大きく深呼吸をして「でもね、僕はここから出られないし、綺麗で新しいお家には住めないんだ。」女の子に伝えました。
それを聞いた女の子は小さな声で言いました。「そっか…きっとまた遊びに来るから、ずっとずっとここにいてね。」おばけは今にも泣き出しそうな女の子に向かってにっこりうとなずきました。
女の子とおわかれしたおばけはまた、誰にも見つからず、誰にも邪魔されず、のんびりと暮らしはじめました。でも、前と違うこともあります。部屋には女の子からもらったプレゼントがたくさん飾ってありました。プレゼントに囲まれたおばけは、また会えることを楽しみに窓の外を見つめるのでした。
おしまい