あらすじ…

宇宙人が日本の挨拶を勉強するお話。

日本に遊びに行く途中、日本の勉強を始めた宇宙人。自分達が使っている挨拶より素敵な言葉だと思った宇宙人は、たくさん勉強をして日本の挨拶を使うようになります。でも日本に到着すると…

挨拶のすばらしさにあらためて気がつけるお話です。

宇宙人の挨拶

ワレワレは宇宙人。地球に遊びに行くことになったワレワレは、UFOに乗り込んだ。地球はとっても遠い星。着くまでには何日もかかる。せっかくだから地球に向かう途中、日本という場所に住む地球人の挨拶を勉強し始めた。

なになに？朝おきたら「おはよう」というのか。ワレワレ宇宙人は朝起きたら「うんぽこぴー」というのに。ずいぶんと違うな。お昼になったら「こんにちは」。ふむふむ。ワレワレのお昼の挨拶は「ぴんぽこぱー」だ。

地球人は夜も「こんばんは」と挨拶をするのか。ワレワレの夜のあいさつは「ぽっ」だけなのに。地球人の挨拶って難しいな。難しいけれど、ワレワレの挨拶より気持ちがいい。ワレワレ宇宙人はそれからは「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」を使うようになった。

出発してから328日目。こんどはご飯のときの挨拶を勉強し始めた。ご飯を食べるときには「いただきます」食べ終わったら「ごちそうさま」食べるときもあいさつをするなんて、地球人はすごい。ワレワレはご飯を食べるときに挨拶をしない。

「いただきます」と「ごちそうさま」はお礼の挨拶らしいが、なんて素敵な挨拶だろう。食べるものにも、用意してくれた人にも、感謝を伝えるなんて素晴らしい。ワレワレは「いただきます」と「ごちそうさま」を使うようになった。

次にワレワレは「いってきます」と「ただいま」の練習を始めた。家を出る時は「いってきます」帰ってきたら「ただいま」。ワレワレ宇宙人は家を出る時は「ぽんぽこちー」帰ってきたら「ちょっちょろけー」だ。

出発してから4681日目、ようやく地球にたどり着いた。海は青くて緑が綺麗だ。生き物が沢山住んでいて、地球人はみんな優しい顔をしている。とても素敵な星だったので、ワレワレはしばらく地球にいることにした。

こっそり地球人を見ていると、「おはよう」も「こんにちは」も「いただきます」も言わない地球人がいた。こんなに素敵な言葉なのに、言えばきっと気持ちが良いのに。なんてもったいないのだろうとワレワレは悲しくなった。

ふざけた挨拶をする地球人もいた。宇宙人の仲間かと思って「うんぽこぴー」と宇宙の言葉で挨拶をしてみたら、めちゃくちゃ驚かれてしまった。間違えて宇宙に一緒につれて帰らなくてよかった。

地球人を見ていると、素敵な挨拶がもっとたくさんあった。お礼を言うときは「ありがとう」謝りたいときは「ごめんなさい」「おやすみなさい」に「どういたしまして」…地球人の挨拶はいろいろある。

いろいろあるけれど、宇宙人の言葉よりもとても綺麗で素敵だ。言うと気持ちがいいし、言われると嬉しい。素敵な挨拶を覚えたワレワレは、自分の星へ帰っても、地球人の挨拶を使うようになった。

おしまい

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