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山から出たことのないやま吉が、海と友達になるまでのお話。
初めて見る綺麗な海に感動したやま吉ですが、魚も波も山の子供のやま吉と仲良くしてはくれず…
大切な場所や、諦めない心が学べる昔話です。
やま吉は山のずーっと奥に住んでいる木こりの子供です。山から出ることもなく、小さな頃から山の獣や鳥たちと仲良く遊んで暮らしていました。
ある日1羽の大きなタカが、広く大きな翼にやま吉を乗せて、飛行機のように空を飛んで遊んでいました。しばらく遊んで疲れると、大きな木の枝に止まって一休みすることにしました。
すると、はるか遠くに青い水がどこまでもどこまでも続く不思議な世界が見えました。やま吉は生まれて初めて見る珍しい景色に、「あれはなに?」とタカに訪ねました。
「あれは海という水の世界だよ」とタカは答えました。それから「海には、魚というきれいな泳ぐ生き物がいてね、それはそれは面白いところだよ。」とやま吉に教えてあげました。
やま吉はその話を聞くと、すぐにでも海というところへ行きたくなりました。「今すぐ海へ連れて行ってくれないか?」とタカにお願いすると、タカはやま吉を翼へ乗せて、海に向かって飛び立ちました。
しばらく飛ぶと海が近づいてきました。やま吉は嬉しくて楽しくて仕方ありません。タカはやま吉を海の真ん中にある大きな岩へ下ろしました。「しばらく空を飛んでから、またくるよ」そう言うと、また空へ飛び立ちました。
やま吉は泳いでいる魚達に言いました。「みんな、僕と遊んでくれませんか?」すると魚はこう言いました。「遊びたいならここまで泳いでこいよ。」やま吉は泳げなかったので困ってしまいました。
「ぼくは山の子供だから泳げないんだ。」というと、魚たちは馬鹿にするように笑って、「泳げないのに海にくるなんて、なんて大馬鹿者なんだ。」と言ってどこかへ行ってしまいました。
やま吉は今度は波に向かってお願いしました。「波さん、どうかぼくを海で泳がせてくれないかい?」すると波は「やまの子供が海にくるなんてナマイキだ」と怒って岩に波を叩きつけました。
やま吉は誰にも相手にされず、悲しくてシクシク泣きました。タカが戻ってくるとやま吉は、すぐに山へ連れ帰ってと頼みました。山へ戻ると、獣や鳥たちはやま吉の帰りをたいそう喜びました。
やま吉は海でひどい目にあった話をすると「もう絶対に山から出ない。ぼくはやまのこだ。」といいました。獣や鳥たちは喜びましたが少し心配になりました。「山が大好きなのは嬉しいけれど…もっといろんな世界をみなくっちゃ。」そう言って、やま吉を山の大将にすることにしました。
次の日、大将になったやま吉は「大将になったなら、どんなやつとも仲良くしなくっちゃいけないな…。」と言って、魚や波と友だちになるために、また海へと出かけていきました。何度も何度も魚や波に遊ぼうと誘うと、いつの日かやまの子供のやま吉は、海とも仲良くなりましたとさ。
おしまい