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働き者のお嫁さんをもらった正吉もおばあさんも喜んでいました。
ある日お嫁さんが苦しそうにしているのでおばあさんが心配すると…。
むかしむかしある村に、おばあさんと正吉という息子が住んでいました。年頃になった正吉はある日、近くの村から働き者で親孝行な良いお嫁さんを迎えることになりました。
お嫁さんがやってきて10日も経つと、お嫁さんの様子がなんだか苦しそうになってきました。おばあさんが心配してお嫁さんに理由を尋ねると、「屁がしたいんです…ずっと我慢しているんです…」と言うのです。
おばあさんは「屁ぐらい遠慮なくすればいい」とやさしく言うと、お嫁さんは嬉しそうな顔をして「それはありがたい…」とさっそく着物の裾をまくりました。すると…
ぷぅーっと、ものすごい勢いで屁を放ちました。おばあさんはお嫁さんの放ったとんでもない屁に吹き飛ばされて、向かいのキャベツ畑までふっ飛んでしまいました。この様子を見ていた正吉はカンカンに怒りました。
「こんな嫁はいらない」と正吉が言いだすと、お嫁さんは生まれ育った家へ帰ることになりました。お嫁さんは悲しみながら、正吉の後ろについてとぼとぼ歩いていきました。
しばらく進むと、港から出航できないで困っている貨物船がありました。そこでお嫁さんは、「私に任せてください」とまたものすごい屁を放ち、貨物船を沖まで吹き飛ばしてあげました。
「いやーたまげた!」お嫁さんはお礼に米俵を三俵と馬をもらい、正吉と一緒にさらに道を歩いていました。すると今度は柿の木から柿が取れずに困っている男がいました。
ここでもお嫁さんは「私に任せてください」と言うと、豪快に屁を放ち、柿の木から全部の柿の実を落としてやりました。「こりゃすごい!」男はたいそう喜んで、持っていた反物と小判をお礼にくれました。
正吉は「こんないいお嫁さんを返すのはもったいない」と思い、お嫁さんと一緒に自分の家に帰る事にしました。「でも、私の屁は迷惑じゃないかしら…」お嫁さんが心配すると、正吉は「なーに、いい考えがあるから大丈夫だ」と言いました。
正吉は家へ帰るとさっそく、いつでも好きなだけ屁ができる、屁の家をお嫁さんに作ってあげました。そのおかげで、家族はいつまでも仲良く幸せに暮らしました。この屁の家こそ、いまの「へや(屁屋)」の始まりだそうな…。
おしまい