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「あなたの花火が大好きなんです!」そう言って花火師のねこ太郎に弟子入りしたネズミ。
次の日から花火を一緒に作り始めます。1つの花火をつくるのに沢山の工程があり、一生懸命頑張るネズミ。 初めて作った花火を打ち上げてみると…。
ネズミの修行を通して、花火の作り方が学べるお話。
『ひゅるるる~ドーン!!』『ドーン!!パチパチパチ!!』今年もねこ村の花火大会が始まりました。「いや~きれいだな~」ねこ村の花火師、ねこ太郎が満足そうに自分の作った花火を見つめていると、1匹のネズミがトコトコ近づいてきました。
「お、ご馳走がやってきたぞ。」ねこ太郎はひょいとつまみ上げて大きな口を開けました。すると「待って下さい!ぼ…ぼく!あなたの花火が大好きなんです!弟子にしてほしいんです!!」ネズミは慌てて言いました。ネズミの言葉にねこ太郎は大きく開けていた口を閉じることにしました。
「俺の花火が好きだって?」「はい!ねこ太郎さんの作る花火は色とりどりで鮮やかで…形もキレイで可愛くて…」ネズミはうっとりと話します。「わかったわかった。ちょうど一人じゃ大変だと思っていたところだ。お前を弟子にしてやろう。」自分の花火を褒められて、いい気分のねこ太郎は、ネズミを家へ連れて帰りました。
次の日の朝「おい、起きろ!」ねこ太郎はぐっすりと眠っているネズミを起こし、ムニャムニャとまだ寝ぼけているネズミを、花火を作る場所へとひっぱって行きました。 「次の花火大会の花火を作るぞ」「え?昨日終わったばかりですよ!?」ネズミがおどろいていると「ねこ村のみんなは花火が大好きなんだ。終わったらすぐ作る。作り終わったらまた花火大会だ。」「そりゃ忙しい!!」ネズミは慌てて支度をしました。
「まずはいろんな色を混ぜて作った火薬を、大きな鍋みたいな窯に入れて、転がしながら丸っこい形にする。これが『星』っていう花火の玉に込めるものになるんだ。」「なんだか飴玉みたいですね~」支度が終わったネズミは窯の中でコロコロ転がっている星をみながら言いました。
「次は星をお日様に干して乾かすぞ。」ねこ太郎は沢山の星を同じ大きさごとに分けて、外に干しました。その横で、ネズミは雨が降らないようにせっせとてるてる坊主を作ります。
そんなのんきなネズミを「うまそうなネズミだにゃー」ねこ村のねこ達はいつ食べようか毎日チャンスを伺っていました。花火屋の前を通るたびにねこ達がよだれを垂らしている事も知らず、2匹は一生懸命花火を作っていました。乾かした星にまた火薬を流し入れて粉をかけ、お日様に干して乾かして…ねこ太郎とネズミは汗をかきかきなんども繰り返します。すると星はどんどん大きくなっていきました。
何日も同じことを繰り返し、ようやく星が完成。花火の玉に詰める作業ができるようになりました。その頃になると、よだれを垂らして見ていたねこ達は、ネズミの一生懸命な姿にすっかりネズミのことが好きになっていました。「おい、ネズミ、今日も頑張れよ!」「ちゃんと働かなかったら食べちゃうにゃー」こっそり見ていたねこ達は、ネズミに声をかけるようになりました。
「次の花火大会はあっと驚く花火を上げるよ!」ネズミもみんなに挨拶します。まあるいボールを半分に切ったような花火の玉の中に、星を詰めていきます。詰め方でいろんな柄ができるので、ねこ太郎もネズミも「こんな花火だったらキレイだな」「これはみんなびっくりするかなー」みんなが花火を見ている姿を想像しながら、楽しそうに詰めました。
詰め終わると、仕上げに玉の周りに沢山の紙を貼りました。糊で貼ってはお日様に干す。それを何度も繰り返しました。今度はねこ村のみんながネズミの代わりにてるてる坊主を作りました。「ふわぁ~できたぁ~!」紙が乾いてやっと花火の出来上がりです。「よく頑張ったなぁー!お疲れ様!」ねこ太郎とネズミはハイタッチ。あとは花火大会を待つだけです。
その頃、ねこ村では花火大会の準備が進んでいました。村中に提灯が飾られ、村のみんなは夜になるのを今か今かと待っています。あたりが暗くなってくると、いよいよ花火大会の始まりです。 『ひゅるるる~ドーン!!』ねこ太郎の作った花火が打ち上がると、会場からは大きな拍手。ネズミはうっとりしながらねこ太郎の花火を見つめています。
『ドーン!!パチパチパチ!!』楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。 いよいよ花火大会さいごの花火です。村長さんのアナウンスが会場に流れました。「これは、ねこ村にやってきた新しい仲間、ネズミの作った花火です。」アナウンスが終わると『ひゅるるる~ドーン!!』大きな花火が打ち上がりました。
バーン!と開くと、現れたのはねこ太郎の笑顔の花火でした。夜空に輝く大きなねこ太郎の笑顔に、会場からは今日一番の大きな拍手。花火を見たねこ太郎の目には涙が浮かんでいます。「おまえは最高の弟子だ!明日からまた一緒に頑張るぞ!」泣いているねこ太郎と、恥ずかしそうに笑っているネズミは、嬉しそうにハイタッチをしました。
おしまい