チャンネル登録:
お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
消防士のお父さんはとっても自慢のお父さん。
じん君が忙しくてなかなか遊べないことを不満に思っていたある日、もうすぐ父の日だと気がつきました。じん君がお父さんへ送ったプレゼントとは…。
父と子の絆が学べます。
じん君のお父さんは消防士です。かっこよくて自慢のお父さんでしたが、いつも仕事で忙しくなかなか遊べませんでした。
それどころか、学校の行事はいつもお母さんしかきません。初めての野球の試合も、応援に来てくれたのはやっぱりお母さんだけです。
「お父さん…ぼくのこと好きじゃないのかな…」じん君はたまにそんなことを考えました。でもお母さんはいつも「お父さんはじんのこと大好きよ。大好きだから、お仕事頑張れるの。」とじん君にいっていました。
ある日、じん君はテレビで、もうすぐ父の日だということに気が付きました。「母の日はいつもカーネーション渡してるけど…父の日っていつも何してたっけ?」思いだせないじん君は、お母さんに聞いてみました。
「父の日はカーネーションみたいに決まったものはないの。去年までは絵をあげてたと思うけど…今年はなにかお父さんの好きなものあげたら?」そう言われて、じん君はお父さんの好きなものを考えました。「ん~、消防車のミニカーとかかなぁ…?」
じん君が真面目な顔で言うとお母さんはクスクスと笑いました。「毎日消防車みてるから、違うものが良いんじゃない?お父さん甘い物好きだから、一緒にケーキ作る?」お母さんの言葉にじん君は笑顔でうなずきました。
そして「父の日」の当日、じん君はお母さんと一緒に初めてケーキを作りました。タマゴを割ってカラが全部入ったり、砂糖をこぼして怒られたりしながらも頑張って作りました。
最後に「いつもありがとう」とチョコで書いたビスケットをケーキに乗せると、ちょうどお父さんが帰ってきました。
「甘くていい匂いがするなー!」お父さんが笑顔で部屋に入ってきました。お父さんの笑顔を見ると、家族みんなは何だかほっとします。
「お父さん、いつもありがとう!」できたてのケーキを見せると「すごいじゃないか!ありがとう!」お父さんは大きな手でじん君の頭をワシャワシャとなでてくれました。
ケーキを食べながら、久しぶりにお父さんとゆっくり話をしたじん君。話したいことがたくさんありすぎて、いつもよりちょっとおしゃべりになりました。お父さんもそれは同じでした。1枚の手紙をじん君に見せると、そこには「ありがとう」とへたっぴな字が書いてありました。
「これなぁに?」じん君が聞くと「これは、火事で助けた女の子が書いてくれた手紙だよ。じんの初めての野球の試合の日、本当は見に行く予定だったんだけど、急に仕事になってな。その時助けた子が書いてくれたんだ。あのときは見に行かれなくてごめんな」じん君は試合を見に来てくれなくて怒ったことを思い出して、心が少しぎゅっとなりました。
「お父さんは急に仕事が入って約束を守れないことがある。でもその時は、悲しい気持ちにならないで、どこかで誰かを助けてることを思い出して欲しい。じんとの約束を守るためにお父さんも頑張るから、待っててくれな!」お父さんはまた、じん君の頭をワシャワシャとなでました。
じん君は、誰かのために頑張っているお父さんをもっとかっこいいと思うようになりました。父の日は、お父さんに「ありがとう」を言う日。「ボクは世界で1番お父さんが大好きだよ!いつもありがとう!」じん君はお父さんにこころからの「ありがとう」をプレゼントしました。
おしまい