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電車が大好きなあさひ君のお話です。
あさひ君の誕生日。朝早くからパパとママに起こされ行き先を告げられないまま出かけます。ついた先はあさひ君が大好きなロマンスカーのカフェでした。大好きなロマンスカーが見られて大興奮のあさひ君でしたが、さらに驚くことが…。
このお話から、電車を使った旅の魅力が学べます。
あさひ君は電車が大好きな男の子。写真を見るだけで電車の名前を言い当てたり、まだ習っていない漢字で書かれた駅の名前も読めてしまうあさひ君は、幼稚園のお友達からは「電車博士」と呼ばれていました。
ある晴れた日、あさひ君は朝早くパパとママに起こされました。「どこか行くの?」寝ぼけながら聞くと、パパもママも顔を見合わせてニヤニヤするだけで、答えてはくれませんでした。あさひ君はそのまま支度を済ませ、行き先を知らないまま、家を出発しました。
何度か電車を乗り継ぎました。「ずいぶん遠くまで行くんだなー」そう思いながら、乗り継ぎに駅の中をウロウロとしていると、オレンジ色のカフェの前で止まりました。「ちょっとお茶でもしようか」そう言って入ると、そこは特急「ロマンスカー」が目の前に発着するカフェ、ロマンスカーカフェでした。
ロマンスカーはあさひ君が1番好きな電車でした。「すごいよ!ありがとうパパ!ママ!」あさひ君がはしゃいでいると「お誕生日おめでとう!」パパとママはニッコリとあさひ君の頭をなでました。そう、今日はあさひ君の誕生日だったのです。
お店の眼の前にロマンスカーが発着する度に「見て!今『GSE』がきたよ!このお店と同じ色だ!」「すごい!!今度は『VSE』だ!かっこいいーなー!」飲み物そっちのけで、外に釘づけのあさひ君。目がキラキラと輝いていました。
あっという間に時間が経ち「さ、そろそろ行こうか」パパとママが席を立とうとすると、「やだ!!夜までここにいるんだ!」あさひ君は帰ろうとしません。困ったパパとママは「ほら!もう行かないと!」「えー!もっとココにいようよ〜!」あさひ君はなかなか譲りません。
「そうだ!近くまで行ってロマンスカーを見てみようよ!」ママが一言そう言うと「え!うん!!見に行く!!」嫌がっていたのが嘘のように、あさひ君はとびっきりの笑顔になりました。
しばらくホームで待っていると、目の前にロマンスカーが止まりました。
あさひ君は「すごい!すごい!ほんんものだー!!」と大はしゃぎ。扉が開くとパパとママが中に入ってしまいました。あさひ君がキョトンとしていると、「早く!乗り遅れるわよ!」ママが手を引いてあさひ君をロマンスカーの車内へ誘いました。
キョトンとしたまま、あさひ君はママとパパに連れられて、展望席に座りました。ここは開けた窓から景色がとても良く見え、まるで自分が運転手になったような気分になれる、あさひ君憧れの席でした。パパとママは誕生日のお祝いに、その展望席を予約してくれていたのです。
「今日はなんていい日なんだ!最高の誕生日だ!」あさひ君はこれ以上に無いくらいのとびっきりな笑顔になりました。
出発の時間、「発車いたしまーす!」と車掌さんのマネをすると、パパもママも笑いました。目的の場所に行くまで、こんなにワクワクして楽しんだ旅行は初めてでした。
いつもは寝てしまう電車も、この日は1度だって眠くなりません。外の景色や車内アナウンスにいちいち大興奮して、気がつくとあっという間にお昼の時間になっていました。
すると席に、ロマンスカーの形をしたお弁当が届きました。これも、あさひ君のために予約をしていたものでした。
蓋を開けると、あさひ君の好きなおかずがぎっしりと詰まっていました。赤や黄色に染まった外の景色を見ながら、運転手気分で食べるお弁当は最高でした。「僕、もっともっと電車が好きになったよ!」嬉しそうにしているあさひ君を見て、電車に乗っている時間も、大切な旅行の時間なんだなーとパパとママは改めて感じました。
目的地までの移動の時間をスペシャルな時間に変えてくれた魔法の電車「ロマンスカー」。あさひ君もパパもママも、忘れられない大切な思い出ができました。
おしまい