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流れの早い川に橋をかけたい大工と、鬼の昔話。
どんな大工が橋を作っても壊れてしまう流れの速い川に、日本一の大工が橋をかけることになりました。 どうやって橋をかけるか悩んでいると、鬼が現れ自分が橋をかけると言い出します。そのかわりにあるものをよこせと、大工と約束をしました。橋が完成したのをみた大工は思わず逃げますが…。
鬼が人のために橋をかける、ちょっと不思議な物語。
むかしむかしある村に、流れの速い大きな川がありました。村の大工が何度橋を作っても大雨が降ると川の流れが激しくなって橋が壊されてしまいます。「はてさて、困ったもんだ。どうにかして雨にも風にも負けない丈夫な橋をかけなければ」
村人たちは話し合って、日本一腕がいい大工にお願いをしました。大工は「よし、引き受けた!」とさっそく川岸へやって来ました。ところが、その川の流れの速さを見て大工はびっくり。「こんなに流れの速い川、見たことがない。」
大工はその場にしゃがみ込み、どうやったらこの川に負けない、丈夫な橋を作れるだろうと考え始めました。すると川の真ん中から突然、大きな鬼が現れました。「話は聞いたぞ。丈夫な橋が欲しいのだろ?ならば俺が橋をかけてやろう。」
「それはそれはありがたい。ぜひとも、丈夫な橋をかけてくれ。」大工が答えると「よし、では約束しよう。その代わりに橋が出来たら、お礼にお前の目玉を頂くぞ。」鬼はそう言ってパッと消えてしまいました。
「俺の目玉をもらうだって?いくら鬼だからって、あの川に負けない橋をすぐに作ることはできまい。」大工は鬼との約束を気にすることなく、その夜ぐっすりと眠りました。
次の朝、川へ様子を見に行くと、大きくて立派な橋が出来ていました。大工が驚いていると川から鬼が現れました。「約束通り目玉をよこせ。」すると大工は「こんな立派な橋があるのに目玉を取られたらもう見れないじゃないか。目玉は勘弁してくれないか。」と言いました。
橋を褒められて気分が良くなった鬼は「なら、俺の名前を当ててみろ。当たったら目玉は勘弁してやる。明日またここへ来て、答えられなかったら約束通り目玉をもらうぞ。」と川へ戻っていきました。
「大事な目玉を取られてたまるか!名前なんてわかるはずがない!」
困った大工は山奥へ逃げました。すると山奥のもっと奥から、こどもが歌っている声が聞こえて来ました。
♪鬼六(おにろく)どうした♪橋かけた♪ほうびに♪目玉もって来こい♪「ははぁん。これは鬼の子供の声だな…。」
次の朝、山奥に逃げたはずの大工は約束通り鬼に会いに来ました。
「さあ、俺の名前を言ってみろ。」鬼は大工に言いました。
大工が「鬼太郎!(おにたろう)」というと鬼はゲラゲラ笑いました。
「ちがう、ちがう!」
「鬼三郎(おにさぶろう)、鬼吉(おにきち)、鬼五郎(おにごろう)…」
「はっはっは!全部違うわい!約束通り目玉をもらうぞ!」
鬼が手を伸ばそうとしたその時、大工は思い切り息を吸い大きな声で叫びました。
「鬼六(おにろく)!!!」
すると鬼はびっくりして、
「き…きさまー!どうして知っているんだー!」
苦しそうに叫ぶとパっと消えていなくなってしまいました。
おしまい