チャンネル登録:
お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
3匹の子アリがお母さんの言いつけを守らず、会えなくなってしまうお話です。
くるみの木の下で生まれた子アリ達。お母さんから「赤い葉に乗ってはいけない」と言い聞かされていたのに、3匹の子アリは赤い葉に登ろうと言い、2匹の子アリはお母さんの言いつけを守って赤い葉に登りませんでした。3匹の子アリが赤い葉に登ると…。
このお話からお母さんが言うことには意味があること、言いつけを守らないとどうなるか学べるお話です。
ある川のほとりに1本の大きなくるみの木が立っていました。その下にアリが巣をつくり、たくさんの子供を産みました。少し経つと、子供達はだんだんあたりを遊びまわるようになりました。そんな子どもたちを見て、お母さんアリは言いました。
「あのくるみの木に登るのは良いけれど、けっして、赤くなった葉につかまってはダメよ。今はどの葉を見てもきれいな緑色だけど、秋になるとあの葉はみんな赤色になるの。」と、言い聞かせました。
ある日のこと、5匹の子アリは大きなくるみの木を見上げていました。
「なんという大きな木だろう。」と、1匹が言いました。
「まだ他にも、こんなに大きな木があるかもしれないよ!」と、ほかの1匹が言いました。「どこまでいけるか上ってみようよ!」と、またほかの1匹が言いました。
5匹の子アリは、くるみの木を登ることにしました。でも途中までのぼると疲れてしまい、しばらく枝の上で休むことにしました。「なんという、大きな河だろう。」といって、1匹の子アリは下を見ろしながら言いました。「なんという広い野原だろう。」と、ほかの1匹は当たりをみながら驚ろいていいました。
するとそのとき、「あの枝に、あんなにきれいな葉があるじゃないか。あのそばまでいってみよう。」と、1匹の子アリが叫びました。2匹の子アリは、「赤い葉っぱで遊んではいけないとお母さんが言ってたよ。」そう言って止めますが、他の3匹の子アリは、どうしても行ってみるといいはりました。2匹の子アリは、呆れてお母さんやお父さんの元へ帰って行きました。
残った3匹の子アリは、赤い美くしい葉を目指してのぼっていきました。しばらくするとぴゅーっと風が吹いてきました。いままでの美くしい赤い葉は、ぱたりと枝から空に離れて、ひらひらと舞って、下の川の中に落ちてしまいました。落ちたその赤い葉の上には、3匹の子アリがとまっていたのでした。
3匹の子アリは、急な出来事にびっくりしましたが、気がついたときには、赤い葉の上に乗って、川の上を流れていました。3匹の子アリは、はじめてお母さんが、赤い葉のうえに乗ってはいけないと言った意味がわかりましたが、もうどうすることもできませんでした。
「どうしよう…。」果てしなく続く川を見ながら、3匹の子アリは心細くなりました。一つのところに固まってふるえていると、そのうちにまた風が吹いて、赤い葉は岸に着つきました。3匹の子アリは、やっとそこからはい上がってなんとか助たすかりました。
流れ着いたところは、思ったよりもいいところでした。美しい花が咲いていて、きれいな草の生えている丘もありました。3匹の子アリは、その日からそこに巣を造って働くことにしました。3匹の子アリは、お父さんお母さんの待っている家が恋しくなるときもありましたが、いくら思っても、二度と帰ることはできませんでした。
いつしか3匹の子アリは、みんな大人のアリに成長していました。そして、子供がたくさん産れました。けれど、アリはけっして子供達に向って、赤い葉に止っていいとはいいませんでした。昔お父さんやお母さんが自分たちに言い聞かせたように「おまえ達は、けっして、赤い葉にはつかまってはならないよ。」と言いました。どんなに幸せな場所に居ても、お父さんやお母さんに会えないことはとても悲しいことだと知っていたからです。
おしまい