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携帯電話にあこがれているヒカル君のお話です。
もうすぐ1年生になるヒカル君は携帯電話にあこがれていました。家族で買い物にでかけた時、ついに買ってもらう事ができましたが、パパはまだ早いと反対していました。ある日パパが風邪をひくと、ヒカル君からメッセージが届きます。初めてのメッセージにパパはとても感動し、家族の絆を感じました。
携帯電話を通して、家族の絆が学べます。
もうすぐ小学生になるヒカル君には、欲しいものがありました。それは子供用の携帯電話です。パパとママが電話をしている姿がなんだかかっこよくて、いつしか自分も欲しいと思うようになりました。
「次のお休みは、学校行くのに必要なもの、色々買いに行こうか」ママの提案に「ボク、携帯電話がほしい!」ヒカル君は思い切っておねだりをしてみました。ママは少し考えた後、「パパにも相談してみるね」と頭をぽんっと叩きました。
日曜日、家族でショッピングモールへ買い物に行きました。鉛筆や筆箱、真新しい文房具を揃えるとヒカル君の心はワクワクしました。みんなでブラブラといろんなお店を回っていると、携帯電話が並んでいる前を通りました。
「携帯電話、見てみよっか」ママはヒカル君の手をひいてお店に入りました。入学準備用に、子供用の携帯コーナーが作られていました。「ママ!これかっこいいよ!」ヒカル君は自分の手のひらにピッタリ収まる、小さな青い携帯電話を手に取りました。
電話をする真似をしていると、「本当かっこいいね」ママはクスリと笑いました。「ねえ、パパも見て!」パパの方を見ましたが、なんだか機嫌が悪そう。実はパパは携帯電話を持つことに反対していたのです。その時ニコニコしながら店員さんがやってきました。
「小学生になると、携帯を持つお子様が多いんですよー。」といいながら、携帯の機能をパパとママに説明してくれました。操作が簡単なこと。ヒカル君のいる場所がいつでもわかり安心なこと。緊急事態に連絡がとれること。
ママは熱心に聞いていましたが、パパは相変わらずムスっとしていました。でも結局、ヒカル君の説得と、ママの心配性な性格と、店員さんの丁寧な説明があって、『勉強毎日がんばる』約束をパパとして、携帯電話を買って帰りました。
ひかる君は小学校に通いはじめると、学校に許可をもらい、毎日携帯電話を持って通学しました。急な雨で帰れないときにママに電話をしたり、ヒカル君の帰りが遅い時にはママが居場所を確認したり、使ってみるととても便利でした。
でも、ヒカル君と携帯電話のやり取りをしないパパは、未だにあまり良く思っていないようでした。充電されている携帯電話を見るたびに「まだ早い気がするんだけどなー」と、ため息をつくのでした。
ある日、パパが風邪をひきました。具合が悪そうにしながらも「行ってきます」と家を出発。駅についた頃にパパの携帯電話にメールが届きました。開いてみるとなんと、ヒカル君からのメールでした。
『ぱぱ、おしごとがんばて。ひかる』たった一言のメールでした。しかも打ち間違いもあります。だけどパパにとっては思わず泣いてしまうほど、温かい一言でした。
ヒカル君は風邪をひいても仕事に行くパパが心配でした。でも、仕事に向かう忙しい時に電話はできなし、どうしたらいいのか考えたときに、メールを思いついたのでした。これなら会社についてからでも見られると。
パパはメールを見ながら、ひらがなを覚えたてのヒカル君が、使い慣れていないメールを一生懸命打っている姿を想像しました。その姿が愛しくて、嬉しくて、風邪なんてどこかに吹き飛んでしまうほど元気が出ました。
普段、仕事で帰れない時に携帯電話でヒカル君と話すことはありましたが、文字でのやり取りは初めてでした。形に残るやり取りに、子供に携帯電話をもたせることは、安心や安全の為だけじゃなく、家族の絆がもっと強くなるものだったと気が付きました。
パパは初めて携帯電話をもたせたことは悪くなかったと思いました。『ありがとう。がんばるよ。』そうヒカル君に返信をし、その日一日、メールを何度も読み返しながらパパは仕事を頑張りました。たった1回のメセージのやり取りでしたが、パパとヒカル君の絆はぐっと強くなりました。
おしまい