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【絵本読み聞かせ】ふたりのハーモニー/童話・日本昔話・紙芝居・絵本の読み聞かせ朗読動画シリーズ【おはなしランド】

2019-6-9

あらすじ…

ある貧しい国の兄弟のお話です。

二人の母親は病気で入院し、父親は出稼ぎで週末しか家に帰ってきません。
二人は入院する前に母親が歌ってくれていた歌で寂しさを紛らせていました。ある日、二人はお母さんを元気づけるため、病院の近くの公園で歌を歌います。
毎日のように歌を歌っていると、噂を聞きつけたラジオ局がラジオで歌を披露させてくれます。二人の歌で母親やたくさんの人が元気になりました。歌で有名になりお金持ちになった兄弟でしたが、二人は威張ることなく素敵な歌を歌い続けるのです。

純粋な気持ちから生まれる行動こそ、人の心に届くのです。

 

ふたりのハーモニー

 

ある貧しい国に、お父さん、お母さん想いの兄弟がいました。 母親は病気がちで仕事に行く事が出来ず、父親は遠い街へ出稼ぎに行っているため、週末しか家には帰ってきません。 兄弟は毎日、自分で身支度を済ませて学校へ出掛け、 学校が終わるとすぐ家に帰り、洗濯や食事の準備など、何でもこなしました。

その兄弟は、夕食後、お母さんが歌を歌ってくれるのをとても楽しみにしていました。 決して大きな声ではありませんが、それはとても澄んだ歌声で、とても安らかな気持ちになる歌声でした。 いつしか、兄弟もお母さんの歌う歌を覚え、一緒に歌うようになりました。

お母さんは日に日に体力が弱っていき、入院することになりました。 兄弟はお母さんのいない夜も、二人でいつもの歌を歌い、さみしさを紛らわせていました。 歌を歌っていると、まるでそこにお母さんが優しい笑顔でいるかのように感じられたのです。

週末になると出稼ぎから帰ってくるお父さんに、歌を披露しました。 「お母さんゆずりの素敵な声だ。」お父さんは嬉しそうに、二人の頭をグリグリと撫でました。自信をつけた兄弟は「そうだ!今度街に行く時に、病院から見える公園で歌を歌い、お母さんにも届けてあげよう!」病室に入れない兄弟は、少しでもお母さんを元気づけようと計画を立てました。

いよいよその日がやってきました。近くの公園へ到着し、お母さんの部屋が見える位置から、二人の兄弟はいつものあの歌を歌いました。しばらくすると、窓が開き、お母さんが顔を出しました。 「お母さーーん」 歌をそっちのけで、兄弟は大きく力一杯、手を振りました。 お母さんはびっくりした顔をしましたが、その後ニッコリと笑い、歌を続けて、と身振りで伝えました。

二人の歌声は、とても清々しく、公園にいた人達が集まってきました。あちこちの病室の窓が開き、こちらを笑顔で眺めています。 しかし、病院の近くで大きな声を出すなと、すぐに警備員に止められてしまいました。

兄弟はしぶしぶ家に帰りました。でもどうしても歌を聞いているお母さんの笑顔、窓から見えた他の人の笑顔が忘れられませんでした。「お母さんもみんなも、病気で苦しいはずなのに、とっても嬉しそうな顔で歌を聞いてくれていたなぁ…」

みんなを笑顔にするために、その日から兄弟は時間を見つけては公園で歌うようになりました。お母さんも病院のみんなも、いつも嬉しそうに窓を開け、兄弟の歌声を聞きました。でも必ず警備員に止められて最後まで歌うことができませんでした。

ある日、歌声の噂を聞きつけたラジオ局が兄弟に話しかけてきました。「もしよければ、その歌声、ラジオで披露してみませんか」兄弟は喜びました。なぜなら、ラジオで歌声が流れれば、きっと最後まで歌を聞いてもらえると思ったからです。病院ではいつもラジオが流れていると、お父さんから聞いていました。

次の日、兄弟は早速ラジオで歌を披露しました。病院ではその時間、お母さんも病院のみんなもラジオから流れる兄弟の歌声にうっとりしていました。警備員も、兄弟の素晴らしい歌声にうっとりと聞き惚れました。まるで時間が止まったように、病院の中は兄弟の歌声だけが響き渡っていました。

兄弟は毎日ラジオから歌声を届けました。お母さんも病院のみんなも、兄弟の歌声にはげまされ、みるみるうちに回復していきました。兄弟はあっという間に国中で有名になり、歌うことを仕事にしました。

すばらしい歌声の兄弟は、すぐにお金持ちになりました。それでもお父さん、お母さんの教えをきちんと守り、決して威張ることはありませんでした。 心の素敵な人が歌う歌声は、みんなの心に響く素敵なハーモニーでした。

おしまい

 

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