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お父さんが亡くなり、悲しみに暮れるお母さんの姿を見て、お母さんの大好きなイチゴのケーキを買いに来た女の子。
その気持ちに感動したケーキ屋さんは、チョコレートのメッセージプレートに女の子の気持ちを書いてプレゼントしてくれます。
そのメッセージに元気をもらったお母さんは、今度は女の子の誕生日に、
大きなイチゴケーキに添えたメッセージプレートで女の子にお礼の返事をしたのでした。ケーキ屋さんのささやかなプレゼントが親子を笑顔にしたのです。女の子がお母さんを思う気持ちが伝わるお話です。
街の小さなケーキやさん。ある日お店の入口に小さな女の子が立っていました。ケーキ屋さんが「ケーキ買いに来たの?」と尋ねると、女の子は小さくうなずきました。小さい子が一人でケーキ屋さんに買い物に来ることはなかなかなかったので、ケーキ屋さんは「ママにたのまれたのかな?お誕生日ケーキ?」いろいろ聞きましたが、女の子は首を横に振りました。
母の日が近かったので「ママにあげるのかな?」と聞くと、女の子は小さくうなずきました。それから小さな声で話し始めました。「あのね、パパが死んじゃったの。ママ、たくさん泣いてるから、ママの好きなケーキあげるの。」そう言ってにっこり笑いました。
ケーキ屋さんは女の子の優しい気持ちに泣きそうになりました。「ママ、きっと喜ぶね。」そう言ってたくさんケーキが並ぶウィンドーに案内しました。「なんのケーキにしますか?」ケーキ屋さんが聞くと、女の子は小さな声で「ママね、いちごが好きなの。だから、いちごが乗ってるケーキ下さい。」と言いました。
いちごのショートケーキは500円。ケーキ屋さんが「500円、持ってる?」と聞くと、女の子は小さなお財布を出してきました。中身を確認すると、お財布には300円しかありません。ショートケーキを買うにはお金が足りませんでした。
ケーキ屋さんが難しい顔をしていると、女の子は少し焦った様子で「お金…たりない?お小遣いそれでぜんぶなの…。ケーキ、買えない?」泣きそうな顔で聞いてきました。ケーキ屋さんは悩みましたが、「このお金で買えるのは、このケーキかな。」と300円のいちごクリームが入っているロールケーキを指さしました。
女の子は安心したように「じゃあ、これください!」とそのロールケーキを指さしました。ケーキ屋さんは、ママに伝えたいメッセージを女の子に聞くと、特別にチョコレートのプレートに書いてあげました。「おまたせしました。」ケーキ屋さんに300円を渡してお辞儀をすると、女の子は嬉しそうに家に帰っていきました。
家に着いた女の子がケーキを渡すと、ママは泣いて喜びました。「ケーキ屋さんが、私の気持ち書いてくれたの」そう言って女の子が指指したチョコレートプレートには『ママにはわたしがいるよ』と書いてありました。ママは女の子を抱きしめて大きな声で泣きました。
それからしばらくしたある日。女の子はママと一緒にケーキ屋さんに行きました。「あのね!今日は私の誕生日なの!おっきなイチゴのケーキください!」女の子は嬉しそうに言うと、ママと二人でケーキを買って行きました。
チョコレートプレートはママがこっそり2つケーキ屋さんにお願いしました。『お誕生日おめでとう』と『このまえはありがとう』。家に帰った女の子は大喜びして、2つのプレートを嬉しそうに口に頬張りました。
おしまい