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【絵本読み聞かせ】ドリーとすごした時間/童話・日本昔話・紙芝居・絵本の読み聞かせ朗読動画シリーズ【おはなしランド】

2019-5-13

あらすじ…

ユカリちゃんと飼っている犬ドリーのお話です。

ずっと一緒に過ごしてきたドリーは先にお爺さんになってしまいます。
ユカリちゃんの弟は、そんなドリーを馬鹿にしていましたが、ユカリちゃんが赤ちゃんの頃の弟とドリーの仲の良かったビデオを見せると、弟もドリーが大切な存在だったことに気がつきます。
ドリーは亡くなる直前、最後の力を振り絞って家族に元気な姿を見せました。

ペットは先に寿命が尽きてしまいます。
自分の生涯を通して命の尊さを伝えてくれます。

 

ドリーとすごした時間

 

ユカリちゃんはもうすぐ11歳。家で飼っている犬のドリーも同じ11歳。2人は赤ちゃんの頃からずっと一緒に育って来ました。
しかしドリーはユカリちゃんを追い越して大人になり、年老いてしまいました。犬の寿命はとても短いのです。

お爺さんになったドリーは、独りで立つことも出来ず、オムツをつけられて廊下の隅のゴザの上に1日中寝ていました。垂れたよだれを舐めることが出来ないので、顔の下にはいつもタオルが敷いてありました。

ある日ユカリちゃんは、学校の廊下で弟のケント君がふざけて女の子達を追いかけ回してるのを見かけました。「だぁー!デロデロドリーだぞぉ」そう言いながら口からわざとよだれを垂らしているケント君。女の子達はキャーキャー言いながら逃げまわっていました。
ユカリちゃんはドリーをバカにされ、悲しい気持ちでいっぱいになりました。

家に帰るとユカリちゃんはケント君をTVの前に座らせました。「これ見て」TVに映し出されたのは、まだ赤ちゃんだった頃のケント君と元気いっぱいはしゃいでいるドリーでした。ドリーは赤ちゃんのケント君に寄り添って昼寝をしたり、顔をペロペロなめたり、一緒にボール遊びをしたりしていました。

「ぼく、こんなにドリーと仲良しだったんだ…覚えてなかったよ…」ケント君は年老いて遊べなくなったドリーの姿しか覚えていませんでした。「デロデロドリーなんて言ってごめんなさい…」ケント君はドリーの側へ行き優しく頭を撫でました。

それからしばらく経ち、ドリーがご飯を食べない日が続くようになりました。
ご飯を食べなくなって4日が経った夜、苦しそうに息をしているドリーを家族みんなで囲みました。ユカリちゃんは必死に涙をこらえながらドリーの身体をさすりました。ケント君も泣きながら頭をなでました。

すると突然ドリーがよろよろと立ち上がりました。「ドリー…!?」みんなが驚いて動けないでいると、ドリーはよろよろと歩きだしました。
お気に入りのボールをくわえて、みんなの方へ放り投げるではありませんか。ゆっくりとしっぽを振っているドリーの姿はまるで、「最後にもう一度、ボールで遊びたい」と言っているように見えました。

ドリーの近くにボールを投げてやると、よろめきながらも嬉しそうにボールを咥え、そのまま静かに横になりました。きっと最後の力を振り絞ったのでしょう。
そんなドリーを見ると、「もっと遊んであげればよかった」「もっとお散歩にいけばよかった」いろんな「もっとこうしてあげればよかった」が浮かんできました。一緒にいるときは、いることが当たり前で、ドリーのことを1番に考えてあげることができませんでした。

ユカリちゃんは心からドリーに謝りました。弟も同じ気持ちなのか、「ごめんね…ごめんね…」といいながらドリーに抱きついていました。
どれくらい時間が経ったでしょうか。ドリーの息がまたハァハァと辛そうになりました。「ずっとずっと大好きだよ…」「天国でたくさんボール遊びしてね」「今までありがとう」みんなは大好きなドリーにお別れを言い、順番にそっと頭をなでました。

するとドリーはしっぽをパタッと一振りし、静かに目を閉じました。ユカリちゃんは時間が止まったような気持ちになりました。家族みんなが同じ気持ちでした。ユカリちゃんは、あふれる涙を拭きながら「ずっと忘れないよ」そう言ってもう一度ドリーの頭をなでてやりました。

 

おしまい

 

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