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ショウくんとけんちゃんの、成長の物語です。
生まれつき左手が不自由なけんちゃんは、身支度などを自分ですることができません。しかしそのままでは、ショウくんと一緒の学校へ行けないと知ったけんちゃんは、リハビリを頑張ることを決意します。
けんちゃん自身の頑張りと、手助けをしてくれたお母さんやショウくんのおかげで、兄弟そろって登校する夢がかなうのでした。本当に思いやるとは何か、兄弟や家族の愛が伝わるお話です。
ショウくんの弟のけんちゃんは、生まれつき左手が不自由な障がいを持っていました。そんなけんちゃんが可愛くて、みんなはついついけんちゃんを手伝ってしまいます。
そんなこともあってか、自分の身の回りの支度もできないほど、けんちゃんは甘えん坊に育ちましたが、それでもショウくんの家族はみんな仲が良く、とても幸せに暮らしていました。
小学校に入ったばかりのショウくんは学校が楽しくて仕方ありませんでした。けんちゃんも一緒に通うようになったら、もっと楽しくなるだろうと思ったショウくんは「早くけんちゃんと一緒に学校行きたいなー」とつぶやくと、「けんはね、左手が上手に動かせないから、ショウと同じ学校には通えないかもしれないの。」ママはとても悲しそうな顔になりました。
「手が不自由だと、自分の支度も大変だから、他の人の助けが必要なの。それに、みんなと違うことをけんが気にしちゃうかもしれない…」ママが続けて話すと、だんだんとショウくんは泣き顔になっていきました。ママはなにか言いたそうでしたがギュッと口に力を入れて黙っていました。
「どうして手が不自由だと同じ学校に通えないの?ボクがけんちゃんの左手になるように頑張るよ。支度も手伝って、学校の休み時間はけんちゃんの教室に行って面倒見る。もし、けんちゃんをいじめるようなやつがいたらボクがやっつける。だからお願い。一緒に学校行きたいよ…」言いながらショウくんは泣いてしまいました。ママは黙ったままでしたが、目には涙が溜まっていました。
そんな二人の様子をけんちゃんは部屋からこっそり見ていました。お兄ちゃんの優しさが嬉しくてたまらなかったけんちゃんは思わず部屋から出てきました。「ボクもお兄ちゃんと一緒に学校行きたい!ボク、甘えん坊やめる!約束するからお願い!」そう言って、あまり動かない左手を一生懸命使ってリュックにぬいぐるみを詰めて見せました。
「ほら!支度もちゃんとできるよ!」得意げに見せる姿に、ママもショウ君も思わず笑ってしまいました。「今日からお兄ちゃんと一緒に頑張ろうか」「ママとはリハビリ頑張ろう!」けんちゃんは二人に向かって大きな声で「はい!がんばります!」とにっこり笑顔で返事をしました。
それからしばらくして、けんちゃんの小学校の入学式の日がやってきました。リハビリも、甘えん坊卒業も頑張ったけんちゃんは、「お兄ちゃんありがとう」そう言って嬉しそうにお兄ちゃんと手をつないで同じ小学校へ歩いていきました。
おしまい