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字がまだ書けないりんちゃんのお話です。
りんちゃんはお母さんが何度教えようとしてもひらがなに興味を示しませんでした。
けれど、お父さんが仕事でアメリカに行くことが決まったとき、りんちゃんはひらがなを一生懸命練習し、飛行機が苦手なお父さんのためにおまもりを作ってあげます。おかげでお父さんは安心して飛行機に乗れました。お父さんにとって、嬉しかったのは字の上手い下手ではなく、一生懸命書いてくれたことでした。誰かのために何かをしてあげたいと思うことは成長のきっかけになるとわかるお話です。
5歳になるりんちゃんは、まだ字が書けません。保育園のお友達はみんな字がかけるので、お母さんは少し心配をしていました。「どうしたら字を書いてくれるようになるのかしら…」
ひらがな練習帳を作ったり、りんちゃんの大好きな動物の名前を教えてみたり…いろいろと試しましたが、りんちゃんはぷいっとそっぽを向いて、どれも興味を持ってくれませんでした。
「いつか興味をもってくれればいいか…」
字を覚えてもらうのを諦めかけた頃、お父さんが仕事で遠くに行くことになりました。「お父さん、どこに行くの?」「アメリカだよ」「アメリカって遠いの?」「遠いよー。飛行機に乗って海をこえるんだ。」りんちゃんは興味深々にお父さんの話を聞きました。
次の日、保育園から帰ったりんちゃんは、お母さんが作ったひらがな練習帳を出してきました。「どうしたの?」お母さんがびっくりして聞くと「あのね…」とりんちゃんはお母さんに耳打ちしました。お母さんはにっこり笑いながら、
「じゃあ、まずはこれを書いてみよっか」そう言ってりんちゃんにひらがなを教え始めると、りんちゃんは今までが嘘のように真剣に練習しました。うまく行かなくて何度も何度も消したり書いたり。悔しくて泣いたりもしながら、紙がボロボロになるまで練習しました。
しばらくして、お父さんが出発する日がやってきました。家をでるお父さんに、りんちゃんは小さな巾着を渡しました。「飛行機に乗ったら開けてもいいよ」照れくさそうにそう言うと、ハイタッチをして「いってらっしゃーい!」笑顔でお別れをしました。
空港について飛行機に乗り込んだお父さんは、りんちゃんからもらった小さな巾着を開けました。中に小さく折りたたんだ紙が入っていたのでひらいてみると…
紙には大きな文字で、『だいすきな おとうさんの おまもり』と書かれていました。
紙には何度も書き直した後があり、りんちゃんが一生懸命書いてくれたことが良くわかりました。字が書けるようになったことを知らなかったお父さんは、驚きと嬉しさで思わず涙がこみ上げました。
りんちゃんはお父さんから、飛行機は落ちたら怖いから苦手だと言うことを聞いていました。お父さんが安心して飛行機に乗れるようにお母さんにおまもりを作りたいとお願いしたのでした。
おまもりのおかげで、無事にアメリカに着いたお父さんは仕事を終えると、りんちゃんの好きそうなお菓子やおもちゃを沢山お土産に買い、旅行バッグいっぱいにつめてりんちゃんの待つ家へ急いで帰りました。
おしまい