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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
えりちゃんは、いつも忙しそうにしているお母さんに、短くなった鉛筆の話をできないままでいました。
そんな中、学校である男の子に、鉛筆とお母さんのことを悪く言われ、その子と喧嘩をしてしまいます。その出来事をきっかけに、胸にしまい込んでいた事を一気にお母さんに伝えたえりちゃん。沢山我慢をしていた分、言葉が溢れてしまったのでしょう。
念願の鉛筆と消しゴムを買ってもらい、男の子とも仲直りできたえりちゃんに、笑顔が戻りました。自分の気持ちを伝えることの大切さがわかります。
えりちゃんの家はパパもママも働いていました。ふたりともいつもバタバタと忙しそうです。そんなとき、えりちゃんは学校で使っている鉛筆が全部短くなっていたので、新しい鉛筆が欲しいと思っていました。
えりちゃんの住む町は田舎だったので、鉛筆が買える文房具店が1件しかありません。ママが仕事をし始める前は文房具を一緒に買いに行って、ついでに可愛いノートやいい匂いのする消しゴムを買ってもらうのが楽しみでした。
あわただしく帰ってきたママに鉛筆のことを伝えようと思った時、ちょうど電話が鳴り言いそびれてしまいました。翌日も、その翌日も、バタバタと夕ご飯の用意をするママの背中に、えりちゃんはなかなか声をかけられずにいました。
何日も鉛筆がほしいと言えずに、短い鉛筆を使っていると「お前の鉛筆、全部みじかいじゃん!お前ビンボーなんだなー!かーちゃんも仕事して、いつも忙しそうだもんなー!」と、クラスの男の子にバカにされ、掴み合いの喧嘩になってしまいました。
男の子を突き飛ばしてしまったえりちゃんは、放課後、先生に呼ばれました。職員室に入ると、そこにはママの姿がありました。ママの顔を見たえりちゃんは思わず涙がこぼれ、ママをバカにされて悔しかったこと、鉛筆を買ってほしいと言い出せなかったこと、一緒に買い物に行きたいことを一気に話しました。話し終わるとまた、涙が溢れてきました。
そんなえりちゃんを見て、ママは申し訳なさそうに、そして優しく微笑みました。
「鉛筆のこと、気づいてあげられなくてごめんね。今日はもうお店閉まっちゃってるから、明日のお休みに一緒に買いに行こうね!」ママはそう言って頭をなでてくれました。
月曜日、学校に行くと、喧嘩した男の子が校門に立っていました。えりちゃんがそそくさと通り過ぎようとすると「おい、おはよう。こないだは俺が悪かった。ごめん。」と謝ってくれました。えりちゃんは「もういいよ!一緒に教室行こう!」そう言って男の子の肩をポンと叩くと、二人は教室まで走って競争しました。
えりちゃんの筆箱の中には、昨日ママと買ったキラキラした新しい鉛筆と、いい匂いのする消しゴムが入っていました。
えりちゃんはその日1日中、筆箱の中身を見ては嬉しくてつい顔がにやけてしまいました。
おしまい