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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
一か月前にお母さんを亡くしたエミちゃんのお話です。
遠足の日、エミちゃんは菊の花で飾られた白いご飯のお弁当を持ってきていました。
それを見た先生やお友達は、菊の花一つと自分のおかずを一つ交換します。
みんなでエミちゃんのママの思い出話をすると、エミちゃんの顔は涙と笑顔でいっぱいになりました。このお話から、自分はひとりぼっちではないこと、思ってくれる人がたくさんいることが伝わります。
あいりちゃんの通う学校は、遠足で山登りをします。明日がその遠足の日。あいりちゃんはお弁当作りに張り切っているお母さんに、玉子焼きとブロッコリーとイチゴをリクエストしました。あいりちゃんは楽しみでなかなかその日は寝付けませんでした。
次の日、遠足ではみんな頑張って山を登り、山の頂上でお昼の時間になりました。リクエスト通りのお弁当に、あいりちゃんは大満足!みんなでワイワイとお弁当を広げて見せ合いっこをしていたとき、隣のエミちゃんのお弁当が目に入り、あいりちゃんは驚きました。
エミちゃんのお弁当には、黄色、白、薄紫の菊の花が白いご飯を囲むように飾られていたのです。
「・・・キレイ」驚いて素直な感想が思わず口から出てしまいました。
その時、あいりちゃんは、お弁当を見ながらエミちゃんのお母さんが1ヶ月前に亡くなったことをふと思い出しました。
(このお弁当は誰が作ったんだろう…)そんな事を考えながらお花の入ったお弁当を見つめていました。
気がつくとみんながいつの間にかエミちゃんの周りを囲み始めていました。
「本当だ、かわいいね」「エミちゃん、それ食べられるの?」「食用菊じゃね?」「ショクヨウギクって?」口々にみんなが不思議そうに感想を述べ始めました。「なんか、お線香の匂いがする」「本当だ」誰かのその一言で、あいりちゃんは自分の家のお仏壇の事を思い出しました。そしてそこに飾られた黄色、白、薄紫の菊の花を思い出しハッっとしました。
その時「まぁ、エミちゃん。なんてキレイなお弁当!先生の玉子焼きと交換してくれる?」山口先生がその輪に割って入って言いました。
すると「本当に!私のピーマンの肉詰めと交換して?」と、のり子先生も山口先生に続いて言いました。
お花が先生達のお弁当箱に入るのを見て、なんだか羨ましくなったあいりちゃんは、「エミちゃん、私もその黄色いお花とイチゴを交換してほしいな」とお願いしました。
すると他のお友達も「私も」「私も交換して」と言い出し、エミちゃんのお弁当はあっと言う間に美味しそうなお弁当に変身しました。そのかわりに、みんなのお弁当には一つずつきれいなお花が飾られました。
「先生、このお花食べられる?」
あいりちゃんの質問に山口先生が答えました。「これはね、持って帰ってコップに浮かばせてあげて。それでね、エミちゃんのママの事を思い出してあげて」
その言葉に「エミちゃんのママってさ、キレイなママだったよね」「読み聞かせで面白い絵本読んでくれた」次々にみんな思い出を語り始めました。
エミちゃんはずっとうつむいたままでした。先生が優しく背中を擦ると、「ママ、安心してね。エミには優しい先生とお友達がいっぱいいるから、もう大丈夫だよ!」
エミちゃんは空に向かって小さくつぶやきました。それを聞いていた周りの子も、「エミちゃんママ、安心してね!」「エミちゃんとずっと仲良しだから安心して下さい!」次々に空へ向かって叫びました。それを聞いていた笑顔のエミちゃんは、今にもこぼれ落ちそうなほど、目に涙がいっぱい溜まっていました。
おしまい