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よっちゃんのペット猫のミ―のお話です。
引っ越しが決まったよっちゃんの家族は、新しい家ではペットを飼ってはいけないので、お父さんはミーを知らない場所に捨ててしまいます。けれど、よっちゃんにとってはミ―はただのペットではなく家族でした。捨てることなどできず、ミーを預かってくれる場所を探します。近くに住む動物が苦手なおばあちゃんに頼み込み、ミーを預かってもらいます。今ではおばあちゃんも猫好きでよっちゃんは幼稚園の帰りにミーに会えるようになりました。
ペットにも命があり気持ちを持っています。大切な家族なのです。
三毛猫のミーはよっちゃんの家で毎日楽しくくらしています。ある日、よっちゃんとママの喧嘩する声が聞こえてきました。「ミーも一緒に新しい家に連れて行く!ミーだって家族だもん!」「よっちゃん…ミーは連れていけないの…新しいお家は、ペットを飼ってはいけないのよ…」ミーはなんだか不安になりました。
その日の夜、気持ちよく寝ていると、誰かがミーを抱き上げました。思わず「ニャー!!!」と鳴くと「しーっ…」パパの声でした。箱に入れられたミーは、そのまま車でどこかへ連れて行かれました。
しばらく走るとミーは箱ごと外に置かれました。「ごめんな…ミー…元気に暮らせよ…」何がなんだかわからないミーは、「置いて行かないで!」「こわいよ!」「やだよ!」箱の中から必死にニャーニャー鳴きましたが、パパはそのままどこかへ行ってしまいました。
ミーはしばらく鳴き続けました。「ここはどこ?」「よっちゃんに会いたい!」たくさん鳴いたミーは、疲れて箱の中で丸まりました。箱の中には、よっちゃんがお昼寝の時に使う、ふかふかの毛布が敷いてあります。「よっちゃんの匂いがする…」ミーは毛布に顔をうずめました。
「よっちゃんはボクを捨てたの…?」「もう一緒に遊べないの…?」よっちゃんに会いたくてたまらなくなったミーは毛布に顔をうずめたままニャーニャーと泣きました。泣きつかれたミーはそのままいつの間にやら眠ってしまいました。
ミーはよっちゃんの夢を見ました。楽しかった日の夢。猫じゃらしで遊んだこと。ほっぺとほっぺをくっつけてスリスリしたこと。ひっかいちゃったのに、笑って許してくれたこと。夢の最後では、よっちゃんが「ごめんごめん」とミーを迎えに来てくれました。嬉しくて飛びつこうとすると、辺りが光に包まれました。
ミーは太陽が眩しくて起きました。目はまだ涙でビショビショです。「ここはどこなんだろう…」見たこともない景色が、眠りから覚めたばかりのミーのまえに広がっていました。大きな川にたくさんの木。初めて見るものばかりで、ミーはまた、不安でいっぱいになりました。
「よっちゃんに会いたいな…」「はやくお家に帰りたいな…」そんなコトを考えながら、もぞもぞ動いていると、箱が倒れてミーは箱から出ることができました。「これで家に帰れるぞ!」急いで走り出そうとすると、「ミー!ミー!」どこからか大好きなよっちゃんの声が聞こえてきました。
キョロキョロと当たりを見回していると、遠くからよっちゃんが走ってくるのが見えました。「夢とおんなじだ!」ミーはよっちゃんに駆け寄ると胸に飛び込みニャーニャーと泣きました。
よっちゃんはミーをなでながら「ごめんよ…朝起きたらミーがいなくて…本当にびっくりしたんだ…
ミーも同じ家族なのに…ごめんよ…」と泣きました。ミーをどうしたのか知ったよっちゃんは、パパに何度も何度も諦めずにお願いをしました。ミーを預かってくれる場所をよっちゃんが自分で探すとを約束をして、ようやく連れて帰ることを許してもらえたのでした。
新しいよっちゃんの家は、近くにおばあちゃんの家がありました。でもおばあちゃんは動物が苦手。それでもミーのために、よっちゃんは必死にお願いをしました。必死にお願いをするよっちゃんの姿に心を打たれたおばあちゃんは、恐る恐るでしたが、ミーを預かることを許してくれました。
しばらくして、よっちゃんは遠い街へ引っ越しました。幼稚園がおわるとよっちゃんはまっすぐおばあちゃんの家に行き、ミーとたくさん遊びます。今ではおばあちゃんも大の猫好きです。ミーはまた、よっちゃんと楽しい毎日をすごすことができ、それからも幸せに暮らしました。
おしまい