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しぃちゃんの夏祭りの浴衣のお話です。
忙しいママに浴衣が小さくなってしまっていることを言い出せなかったしぃちゃん。けれど夏祭りの日、ママはしぃちゃんに浴衣を準備していました。ママの小さいころの浴衣をおばあちゃんがサイズを直してくれたのです。おじいちゃんは嬉しそうなしぃちゃんの写真をたくさん撮ります。しぃちゃんは、もし大きくなって自分に女の子が出来たら、この浴衣を着せてあげたいと思います。
新しいものも素敵ですが、みんなの思い出の詰まったものも、より素敵なものなのです。物を大切にする心、家族の絆が学べます。
しぃちゃんの保育園はもうすぐ夏祭り。盆踊りの練習をしたり、お店の飾り付けを作ったり、みんなとても楽しみにしていました。みんながわくわくしている中、しぃちゃんだけは浮かない顔をしていました。
しぃちゃんは夏祭りが嫌でした。夏祭りに着るしぃちゃんの浴衣は、小さくなってしまって、とても短かったのです。みんな可愛い浴衣を着て来るに決まってます。でもしぃちゃんは、パパがいない分、いつも忙しそうにしているママになかなかそのことを言い出せませんでした。
夏祭りの日。おじいちゃんとおばあちゃんが家に遊びにやってきました。久しぶりに大好きなおじぃちゃんとおばあちゃんに会ったしぃちゃんの顔はパァっと明るくなりました。おばぁちゃんに奥の部屋へ呼ばれて行ってみると、紺色の生地に、鮮やかな花火の模様がついた浴衣が準備されていました。
「これはしぃちゃんの浴衣よ。」うしろからママの声がしました。「この浴衣はね、ママが小さい頃に着ていた浴衣なの。おばあちゃんにお願いして、しぃちゃんのサイズに作り直してもらったのよ。しぃちゃんをびっくりさせてくて内緒にしちゃった。」ママとおばあちゃんはにっこり微笑んで、浴衣をしぃちゃんに羽織らせました。
「可愛い浴衣!これで私も浴衣を着ておまつりに行けるね!」しぃちゃんは嬉しくてくるくる回って見せました。 そんなしぃちゃんを、おじいちゃんはカメラマンのように何枚も写真を撮りました。
夏祭りの会場に着いたしぃちゃんは、盆踊りを披露したり、出店を回って楽しみました。「しぃちゃんの浴衣可愛いねー!」お友達はみんなそういってしぃちゃんの浴衣を褒めました。すると「これね、ママが小さい頃に着てた浴衣なの!とっても大切な浴衣なんだよー。」しぃちゃんは得意になって自慢しました。「えー!?ママの浴衣なの!?すごいねー。」みんなは同じように驚きました。
一通り夏祭りを楽しみ終わると、締めくくりには大きな打ち上げ花火があがります。しぃちゃんはママやおばあちゃんに囲まれて座り、花火が上がるのを待ちました。
花火が上がり始めたころ、「ママ、私がお母さんになって女の子が出来たら、この浴衣あげてもいい?それまでとっておいてくれる?おばあちゃんはまたサイズを直してね。おじいちゃんは写真がかりよろしくね!」 しぃちゃんが嬉しそうに言うと、「いいよ。気に入ってくれて嬉しい。しぃちゃんの子供にもきっと似合うと思うわ」ママもおばあちゃんもおじいちゃんも、みんな嬉しそうにうなずきました。
おしまい