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なっちゃんのクマのぬいぐるみのお話です。
幼稚園生のなっちゃんはクマのぬいぐるみだけが友達でした。
けれどなっちゃんが小学生になると初めて友達が出来ます。
それからなっちゃんは、ついクマのぬいぐるみをほっておいてしまいます。
家に遊びに来た友達がクマのぬいぐるみを汚いと言ったことで反省したなっちゃんは、きれいにし、友達もクマのぬいぐるみを大切に扱ってくれるようになりました。物は話したりはしませんが、そばで見守ってくれています。大切にしなければならないと気づかされます。
なっちゃんはいつも1人ぼっち。幼稚園でみんながおままごをして遊ぶ中、その輪になかなか入れないなっちゃんは、いつも教室のすみっこで1人遊んでいました。
ある日ママが、クマのぬいぐるみをなっちゃんに見せながら「今日からボクがなっちゃんのお友達だよ♪お話ししたいことがあったら、なんでもボクが聞いてあげる!」おどけてクマになって言いました。なっちゃんはクマのぬいぐるみを受け取ると、「よろしくね」といいながら嬉しそうに抱きしめました。
それからなっちゃんとクマのぬいぐるみは毎日一緒に過ごしました。幼稚園には手をつないで行き、夏休みにはクマのぬいぐるみを膝に乗せて、一緒にきれいな花火を見ました。もちろん寝るときも必ず一緒に布団へ入ります。
「昨日たのしかったね!また一緒にお出かけしようね!」なっちゃんが話かけても、クマのぬいぐるみは本当のお友達のように返事はしてくれません。その代わりになっちゃんをジッと見つめて、いつもほほえんでくれました。
季節は過ぎ、春がやってきました。なっちゃんは幼稚園を卒園し、小学生になりました。
「今日ね、お友達に話しかけられたんだけど…うまくお返事できなかったの…」小学生になってからもなかなかお友達ができなかったなっちゃんは、学校から帰ると外には行かず、やっぱりクマのぬいぐるみとお話しをしていました。何を話しても返事をしてくれないクマのぬいぐるみに、なっちゃんは少しだけため息をつきました。
しばらくたったある日、なっちゃんは嬉しそうに家に帰ってきました。クマのぬいぐるみを抱きかかえると、「今日ね、転校生がきたの!その子がね、家が近くてね!仲良くなったの!!」なっちゃんはそう報告すると、クマのぬいぐるみを抱きしめました。
お友達ができたなっちゃんは、毎日外へでかけるようになりました。始めのうちはクマのぬいぐるみも一緒に遊んでいましたが、少しずつぬいぐるみを持っていることが恥ずかしくなり、そのうち机の上に置いて出かけるようになりました。
机の上に置かれたクマのぬいぐるみは、だんだんと色あせ、あたまにはほこりがかぶっていましたが、なっちゃんはお友達と遊ぶのに夢中で気が付きませんでした。
ある日、お友達が家に遊びにやってきました。机の上にある、色あせて毛玉だらけの古びたクマのぬいぐるみを見たお友達は「このクマきたないー!」と言ってバカにしました。それを聞いたなっちゃんは、悲しい気持ちになると同時にクマのぬいぐるみをほっておいたことを申し訳なく思いました。
お友達が帰ると、なっちゃんはいそいでクマのぬいぐるみを胸に抱きかかえ「ほっておいてごめんね。汚くなっちゃったね。ひとりぼっちで寂しかったよね。本当にごめんね。」と謝りました。それからホコリと毛玉をキレイにしてあげました。
数日後、またお友達が家にやってきました。「あれ?クマがきれいになってる!」お友達がクマのぬいぐるみに気がついたので、なっちゃんはクマのぬいぐるみがずっとともだちだったことを話しました。
「そうなんだ…この子はなっちゃんの大切なお友達だったんだね。この前は汚いって言ってごめんね。。。なっちゃんの友達なら、この子もわたしの大切な友達だね!」と、お友達はクマのぬいぐるみと握手をしました。その様子をみたなっちゃんの心はとても温かくなりました。
それから何年か経ち、なっちゃんは中学生になりました。いまでも仲良しのお友達は時々家に遊びに来ます。その時は必ず机の上のクマのぬいぐるみに「やっほー!」と挨拶をしました。
なっちゃんとクマのぬいぐるみも相変わらずなかよしでした。昔はお友達ができないことを話していましたが、今は恋の相談相手です。どんなことを話しても、やっぱり古びたクマのぬいぐるみは返事をしてくれませんでした。でも、いつもと変わらず優しく微笑んで、なっちゃんに元気をくれるのでした。
おしまい