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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
絵を描くことが大好きな、少し内気ないろはちゃんが主人公です。
緊張気味でクラスになじめず、保健室登校をするいろはちゃんは、美術の先生に教わったパステル画に夢中になります。
教室に飾られたいろはちゃんのパステル画はクラス皆のお気に入り。
クラスの皆もパステル画を習うことになりますが、その先生はなんといろはちゃんでした。
これを機に、いろはちゃんは教室に登校できるようになりました。
絵が、みんなを繋いでくれたのです。
いろはちゃんは、4月にピカピカの1年生になりました。引っ越してきたばかりだったいろはちゃんは、お友達が誰もいないクラスに馴染めるのか不安でいっぱいでした。
はじめての小学校。知らない人がたくさんいる教室。緊張してしまう性格だったいろはちゃんはうまく友達に話しかけることができませんでした。なかなか友達ができなかったいろはちゃんはいつも一人で絵をかいて過ごしました。
だんだんと学校に行くのが不安になったいろはちゃんは、夏になる頃には朝から放課後まで保健室にいる、「保健室登校」をするようになりました。保健室でもいつも絵をかいて過ごしていると、美術の先生が時々様子を見に来てくれるようになりました。いろはちゃんはその先生といろんな話をして過ごすのが大好きでした。
ある時、絵にはいろいろな種類があることを知りました。水彩画や油彩画、鉛筆画にパステル画。なかでも優しい雰囲気のパステル画にいろはちゃんは釘付けになりました。「先生、これどうやるのか教えてほしい」いろはちゃんは勇気をだして先生に聞いてみました。先生は嬉しそうに「ちょっと待っててね!」といいながら、道具を用意してくれました。
先生は持ってきた綿にクレヨンのようなパステルを付け、画用紙にポンポンと色を付けてみせました。それがとても綺麗で、いろはちゃんは「やってみる!」とその日から夢中でパステル画をかくようになりました。
先生はいろはちゃんの作品を毎日毎日教室に飾りました。クラスのみんなはいろはちゃんのかくパステル画が大好きでした。いつしか教室の壁は、いろはちゃんがかいたパステル画でいっぱいになりました。「先生、私達にもパステル画を教えてー!」クラスのみんなは先生にお願いしました。
そのお願いに応えて、先生はパステル画を教えてくれる時間をつくってくれることになりました。
次の日、パステル画を教えてくれる時間になっても、なかなか先生はきませんでした。
教室がざわざわしだしたころ、道具を持って教室に入ってきたのはなんといろはちゃんでした。「今日のパステル画の先生は、いろはちゃんです!」あとから入ってきた先生が言いました。初めは恥ずかしそうにしていたいろはちゃんでしたが、大好きなパステル画をとおしてたくさんのクラスメイトと話すことができました。
それをきっかけに、いろはちゃんは少しずつ教室に入れるようになりました。初めはパステル画の授業の時間だけ。少し経つとクラスで給食を食べられるようになりました。だんだんといろはちゃんは教室に行く不安が少なくなっていきました。
教室の壁がみんなのパステル画でいっぱいになった頃、いろはちゃんは保健室登校ではなく、自分のクラスに毎日通えるようになりました。仲良しの友達もできたいろはちゃんは、毎日楽しく学校に通いました。
おしまい