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重い障がいのために首から下を動かすことのできないワカナちゃんのお話です。
障がいを受け入れてくれる幼稚園へ通い始めたワカナちゃん。ワカナちゃんは、いつのまにか園の宝物として皆に慕われていました。あるとき園の見学にやって来た、ワカナちゃんと同じく重い障がいを持ったともきくん。ワカナちゃんのおかげでともきくんも楽しい時間を過ごします。その秘密は、ワカナちゃんのステキな笑顔でした。
何にも勝る、笑顔のパワーを感じる物語です。
ワカナちゃんは重い障がいで、首から下を全く動かすことができません。
日に日に動ける箇所が減っていくワカナちゃんを見て、「この子はこのまま寝たきりで、友達もできずに寂しい一生を過ごすのかしら…。」
と、お父さんとお母さんは時々不安な気持ちになりました。
ある日、障がい児を受け入れてくれる幼稚園があったので、ワカナちゃんは幼稚園に入園しました。しばらく通ったある日、園長先生がお母さんに言いました。
「この子はこの幼稚園の宝物です。」
お母さんは何のことかわかりませんでしたが、幼稚園参観の日、その意味がわかりました。
教室に入ると、クラスのお友達たちがかわるがわるワカナちゃんの手足のマッサージをしてくれていたのです。少しでも進行が遅くなるように、少しでも楽になるようにと。
「あのね、これはワカナちゃんの体操の時間なの!」と、誰かが教えてくれました。
その日、新しいお友達が幼稚園の見学をしにクラスにやってきました。その子は重い知的障がいを持っているともき君と言う男の子でした。
子供たちが輪になって先生のお話を聞く時間も、ともき君は子供たちの輪に入ることができないまま、ワカナちゃんの後ろの席で、おびえた様子でお母さんのひざのうえに座っていました。
ところが、幼稚園が終わったときに、ともき君のお母さんがワカナちゃんのお母さんのところにやってきて「有難うございます。」そう言いました。
お母さんは何にお礼を言われたのかわからなかったので、キョトンとしてしまいました。
すると「私たちがワカナちゃんの後ろに座っていた時に、ワカナちゃんが私たちのほうを振り向いて、笑顔でにっこり挨拶してくれたんですよ。
ともきは、う、う、といいながら、挨拶を返していたようです。この子がそんなことをしたのは初めてだったんです。」と言われてお母さんはハッとしました。
ワカナちゃんは、身体は動かないけれど「笑顔」という武器を使って、自分の力でたくさんの友達を作っていました。さらにその明るさで、いろいろな人に必要とされていました。それに気づいたお母さんは嬉しくて誇らしくて、宝物のワカナちゃんを思いっきり抱きしめました。
おしまい