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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
魔女がラプンツェルに愛情を抱いた場合のお話です。
魔女は自分を追い出した人々への復讐に、ラプンツェルを連れ去りました。しかし、いつのまにかラプンツェルに愛情を抱くようになり、ラプンツェルが王子と結婚できるように身を引きました。事実を知ったラプンツェルと王子は結婚式に魔女を呼びました。
愛情を持つことで、過去の過ちは許され、幸せになれるというお話です。
むかしむかし、ある町に魔女がいました。
魔女は人間たちの病気を治したりするなど、人間に親切にしていました。
しかしある年、その町に雨が全く降らなくなったり、地震がきたりと災難ばかりが起こりました。それをある町の住人が「きっと魔女のせいだ!」と言い始めました。
魔女は否定したのですが気付けば町中の人が魔女のせいだと決めつけ、魔女を町から追い出しました。
魔女は裏切られたショックで人間を嫌いになりました。
「いつか必ず復讐をしよう。」
新しく住む事になった塔から町を眺めては、そう考えていました。
そんなある日、レタスを盗もうとしていた男を見つけました。
見つかった男は慌てていいました。「レタスを盗もうとして悪かった。でもお腹に赤ちゃんがいる嫁にどうしてもあげたかったんだ!」
それを聞いて、魔女はにやりと笑いました。
「何だい、そんな事か。いいよ、レタスはいくらでもお取り。でもその代わり、生まれてくる子どもは、わたしがもらうよ」「いや、そんな事は・・・」「いいね!子どもはわたしがもらうよ!」そして魔女は、生まれた女の子を連れ去ってしまったのです。
魔女は女の子に『ラプンツェル』と名前を付けて、塔の中に閉じ込めました。
魔女は塔の上からラプンツェルを奪われて泣いている家族を眺めては、復讐を出来た喜びを感じました。
しかし時間がたつにつれて、自分をお母さんだと思って懐いてくるラプンツェルが愛しくなってきました。
気が付くと魔女にとって復讐はどうでも良くなり、このままラプンツェルとの幸せな日々が永遠に続いてほしいと願うようになりました。
2人の生活はいつも決まっていました。
「ラプンツェル、ラプンツェル、お前の髪をたらしておくれ」
と、魔女が塔の下から呼びかけると、ラプンツェルは黄金をあんだ様な美しい長い髪をたらします。すると魔女はその髪を伝って、塔に登り、2人でお菓子を作ったり、絵をかいたりするのです。
ある日、塔の前を1人の王子が通りかかり、魔女が髪を伝って登る様子を見ていました。
次の夜、王子は塔の下で呼びかけました。
「ラプンツェル、ラプンツェル、お前の髪を垂らしておくれ」
たれ下がってきた髪につかまって、王子は塔の上に登りました。
登って来たのが魔女ではなく男の人だったので、ラプンツェルはビックリ。
「キャアー、あなたはだあれ?」王子はラプンツェルを見て、すぐに好きになりました。
「どうか怖がらないで。お願いです、ぼくと結婚してください」
ラプンツェルも、美しい王子を好きになりました。それから王子は毎晩、塔の上に登ってきました。
それに気がついた魔女はラプンツェルが王子に奪われてしまうのではないかと恐れました。
「ラプンツェル、お前はずっと私と一緒にいてくれるだろう、、?」
そう魔女が聞くとラプンツェルは
「うん、もちろんよ。」と悲しそうな顔で答えました。
魔女はラプンツェルが塔から出たがっていることに気が付きました。
その晩、魔女はとても悩みました。
本当はラプンツェルと一緒にこのままずっと暮らしたいです。
しかし塔から出ればあの王子と結婚できることはもちろん、本当の親にも会えるはずです。
魔女は一晩中悩み、覚悟を決め、朝日が昇る頃、寝ているラプンツェルを塔の遠くに置いて行きました。
その朝、王子はまた塔にやってきて
「ラプンツェル、ラプンツェル、お前の髪を垂らしておくれ」
と言いました。しかしもう塔にはラプンツェルはいないのでもちろん反応がありません。
王子が不思議がっていると魔女が降りてきました。
そして魔女は今までの話を全部王子にしました。そして最後にこう言いました。
「これからはお前がラプンツェルを幸せにしてやってくれ」
そう言うと魔女はどこかに消えていきました。
王子は何も知らずすやすや寝ているラプンツェルを見つけ、この事実を全部伝えました。
そして王子は言いました。
「こんなに他人の幸せを願える魔女が町をめちゃくちゃにしたとは思えないよ。魔女も町に呼び戻そうよ。」ラプンツェルはもちろんそれに賛成しました。
そして数か月後、王子とラプンツェルは大勢の人々に祝福(しゅくふく)されながら、結婚式をあげました。そこにはあの魔女が町の皆と一緒に幸せそうにラプンツェルを眺める姿もあったそうです。
おしまい