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ある日、僕は体調が悪くなり、病院の先生に診てもらいました。
結果はとても悪い病気で入院を勧められました。でも、好きなように生きたいと願った僕は断りました。両親に病気のことを伝えると、お父さんが野球のグローブを持ってきてキャッチボールをすることになりました。キャッチボールを通じて、心で会話をする二人。病気が治ったらまたキャッチボールをしようと一言だけ言われた僕は、病院に行くことを決意しました。
言葉ではなく心がつながっている、親子の絆がわかるお話です。
ある日のこと。仕事をしていると体調が悪くなったので病院の先生に診てもらうことにした。
結果はとても悪い病気だった。治るかどうかも、あとどれくらい生きることが出来るのかもわからない。
病院の先生からは入院をすすめられたけど、僕はそれを断ることにした。
入院するくらいなら自分の好きなように生きたいと思ったからだ。
ただ、今まで育ててくれたお母さんとお父さんにはちゃんと伝えることにした。
まず最初にお母さんに病気のことを伝えた。お母さんは泣いていた。
でも最後には「お医者さんにかかれば大丈夫なんだろ?一緒に頑張ろうね。」と笑顔で言ってくれた。とても嬉しかったけど病院には行かないと決めていた僕はすぐにその場を後にした。
あとはお父さんだ。
僕のお父さんは無口で昔ながらの頑固オヤジだ。きっと病気のことを話したら、「お前はだめなやつだ。」と言われるだろう。
僕は勇気を振り絞って病気のことを話した。するとお父さんは「ちょっと待っててくれないか」と一言だけ喋ってどこかへ行ってしまった。
しばらく待っていると、お父さんが戻ってきた。片手には僕がずっと使っていた野球のグローブを持っていた。それを見た僕は、昔よくお父さんとキャッチボールをしていたことを思い出して自然と泣いてしまった。
僕の小さい頃の夢は野球選手だった。野球が好きなお父さんの影響だった。怪我をして夢を諦めた時も、僕は怒られると思っていたのに、お父さんは「お前なら大丈夫!」と、キャッチボールをしながら慰めてくれたっけ。
お父さんは僕にグローブを渡し、「病気が治ったらまたキャッチボールしような」と言って、少し離れたところからボールを投げた。僕は泣きながらも「うん、頑張るよ。」と返事をし、ボールをお父さんへ投げ返した。
話したのはそれだけだったけど、キャッチボールをしていると、お父さんとたくさん話をしている気分になるから不思議だ。
治るかどうかもわからない悪い病気で諦めかけていた僕を、お父さんとお母さんは応援してくれいてる。
まだ何もしてないのに諦めるのは早い!必ず治ると信じて頑張ろう!僕はすぐに病院へ向かう準備をした。そして「もう1度、お父さんとキャッチボールできるその日まで絶対に諦めない!」と心の中で決心した。
おしまい