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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
大好きな絵がきっかけで、友だちと交流することができるようになったケン君のお話です。
大人しく、話すのが苦手なケン君は、クラスではいつも一人でポツンとしていました。授業でケン君が描いた絵を見て驚いたいじめっ子がその素晴らしさに感服し、そこからケン君に対するみんなの見方が変わります。全国コンクールで絵が入賞したケン君は、今やクラスの人気者です。
誰にでも得意な事があり、それに自信を持つ事が大切だと教えられます。
ケン君という男の子がいました。ケン君はあまり人と話すのが得意ではありません。友達も少なく、休み時間はいつも校庭の隅っこで1人ポツンと虫探しをしていました。「暗くてつまらないやつ」クラスの誰もがケン君をそんなふうに見ていました。
ある日、校庭にあるものを絵に描く授業がありました。みんなは滑り台やブランコの絵を描いているのに、ケン君は1人校庭の隅っこで何か描いていました。
それを見たクラスのいじめっ子が、からかってやろうとケン君の絵を覗きに行くと、「わー!すっげー!」大きな声で叫びました。
気になったクラスのみんなは代わる代わるケン君の絵を覗きました。そこにはバッタの絵がとても上手に描かれていました。「ケン君すごいねー!」「めちゃくちゃ絵上手じゃん!」みんな口々に言いました。ケン君は何も話しませんでしたが、とても嬉しそうに微笑んでいました。
次の日から、ケン君は休み時間に大好きな虫の絵を描くようになりました。そんなケン君を見て先生は、いろいろな濃さの鉛筆で絵を描く方法をケン君に教えました。
ケン君はお母さんに買ってもらったのか、先生が教えた次の日には筆箱の中にいろいろな濃さの鉛筆がたくさん入っていました。その鉛筆を使って、校庭の隅っこで何枚も何枚も虫の絵を描きました。
クラスのみんなはケン君の絵を見によく近くに行きました。「今日はカマキリの絵だね!」「うわーこのダンゴムシ、本物みたい!」いつの間にか、ケン君の周りにはいつも人がいるようになりました。
ある日の全校朝礼で、ケン君が急に校長先生に呼ばれました。恥ずかしそうにケン君が前にでると、「ケン君の描いた絵が、全国のコンクールで賞を獲りました!」校長先生が嬉しそうにケン君に賞状を渡すと、全校生徒はケン君に向かって一斉に大きな拍手を送りました。
教室に戻ると先生がケン君の描いた絵を教室に貼りだしました。賞を獲った絵はセミの絵でした。その絵は、黒い鉛筆だけで描かれているのに、いろいろな濃さのせいか色が付いているように見える、とてもきれいな絵でした。
ケン君の絵を見に、他のクラスからも沢山の人がやってきました。ケン君は相変わらず話すのは苦手でしたが、絵を描くようになってからよく笑うようになり、友達も沢山できました。
「これ、赤ちゃんおんぶしてるの?」「これはね、『おんぶバッタ』っていうバッタでね…メスがオスをおんぶしているんだよ。」「へー!おもしろい!」「校庭の雑木林にもいるよ。」「え!じゃあ休み時間一緒にさがそうよ!」こうして、お友達と遊ぶことも増え、すっかりクラスの人気者になり、楽しい毎日をすごしました。
おしまい