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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
ある兄妹達の成長を描いた物語です。
病気のお父さんの看病のため、しばらくの間不在になるお母さん。代わりに家事に奮闘するお姉ちゃんを横目に、弟のたっくんは遊びに夢中です。誤解からお母さんに叱られたお姉ちゃんは、感情が溢れて泣いてしまいます。初めてお姉ちゃんの大変さに気づいたたっくんと妹は、その日を境にお手伝いをするようになります。3人が大人に一歩近づけた、貴重な体験なのでした。
誰かに押し付けるのではなく、みんなで協力することが大切だと学べます。
たっくんは3人兄妹の真ん中。お姉ちゃんは中学生、妹はまだ小学校に入学したばかりの甘えん坊で、お母さんはいつも仕事に子育てにバタバタと忙しそうにしていました。
毎日があっと言う間にすぎる中、突然お父さんが入院することになりました。お母さんは「お姉ちゃん大変だけど、暫くの間よろしくね」そうお姉ちゃんにお願いをすると、仕事をしながらお父さんの病院に通うようになりました。
たっくんは「うるさく怒る人が減ってラッキー」と、お風呂掃除もお皿洗いも、片付けだってやりませんでした。妹と一緒にいつもTVをみたり漫画を読んだりお母さんがいないことをいいことに、ダラダラとした毎日を過ごしていました。
一方でお姉ちゃんは、たっくんとは正反対な忙しい毎日です。お母さんが起きる時間に一緒に起き、朝ごはんの用意や洗濯ものの手伝いをし、学校が終わった後は妹のお迎えに行って夕飯の支度をする。それでもお姉ちゃんは「お母さんの代わりに、私が弟と妹を守らなきゃ!」と文句も言わずに頑張っていました。
ある日、妹が「こんなご飯嫌だー!!お母さんのご飯がいいー!」泣いてお姉ちゃんのご飯を嫌がりました。「わがままいわないで!」お姉ちゃんが妹を怒鳴りつけました。いつも優しいお姉ちゃんが怒るのを、たっくんはこの時初めて見ました。
丁度その時お母さんが帰ってきました。何も知らないお母さんは「どうしたの?お姉ちゃんなんだから、ちゃんと妹の面倒見てくれないと困るわよ…」今度はお母さんがお姉ちゃんを叱りつけました。たっくんは「お母さん…違うんだ…」と言いかけましたが、いつもと違う家の雰囲気にそれ以上何も言うことができませんでした。
すると「私だってがんばってるもん!一人でいっぱいがんばってるもん!!うわぁ〜ん…」お姉ちゃんが突然大声で泣き出しました。そんなお姉ちゃんの姿を見たたっくんは、ハッとしました。「お姉ちゃんは僕たちのために、毎日1人で頑張ってたんだ…なのに僕は…」
たっくんは思わずお姉ちゃんに駆け寄って、頭をなでました。「お姉ちゃんごめんなさい。僕がちゃんとお手伝いしなかったから大変だったんだよね。僕がお手伝いしなかったから妹はお姉ちゃんに構ってもらえなくて泣き出したんだ。僕ちゃんと手伝うよ」お姉ちゃんはたっくんの言葉を聞きながら、ウンウンとうなずきましたが、まだ泣いていました。
「僕がもっとお手伝いするから、お母さんはお姉ちゃんを怒らないで。ごめんなさい。」すると、妹は泣きながら「お姉ちゃんごめんね。わがままもう言わないよ」とお姉ちゃんに抱きつきました。その様子を見ていたお母さんは3人まとめて抱きしめながら「お母さんもごめん!大変な思いみんなにさせて!」と謝りました。
その日から、お姉ちゃんとたっくんと妹は3人で協力しながらお母さんを手伝いました。そのおかげか、お父さんもみるみる良くなり、退院の日がやってきました。久しぶりに家に帰ってきたお父さんはちょっと大人になった3人をみて、「なんだかみんな立派になったなぁ」と嬉しく思いました。
おしまい