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【絵本読み聞かせ】「おねえちゃん」ってよんで!/童話・日本昔話・紙芝居・絵本の読み聞かせ朗読動画シリーズ【おはなしランド】

2019-1-30

あらすじ…

ハズキちゃんの弟ユズル君のお話です。

ユズル君は病院で耳が殆ど聞こえていないことが分かりました。パパとママは落ちこみ、家の中は暗い雰囲気になってしまいます。ある日、ハズキちゃんは保育園の先生から手話を習い、ユズル君と練習をします。そしてユズル君は、お姉ちゃん、パパ、ママと手話で呼び、家の中は明るい雰囲気に戻りました。ハズキちゃんはユズル君がかわいそうだとは思っていません。ユズル君にお姉ちゃんと呼ばれたい純粋な気持ちからの行動でした。

障がいがあったとしても家族の幸せは同じだけあると気づかされます。

 

「おねえちゃん」ってよんで!

 

ハズキちゃんにはユズル君という弟がいました。パパもママもハズキちゃんも、ユズル君が可愛くて仕方ありません。みんな口々に「『パパ』って言ってごらん」「一番は『ママ』に決まってるじゃない」「ユズル、『お姉ちゃん』だよ!」と一番に自分の名前を呼んでもらおうと競争していました。

しばらくして、ユズル君もハズキちゃんと一緒の保育園に通うことになりました。でもユズル君は、まだ言葉を喋れません。家族の誰かを呼んだことも、もちろんありませんでした。

入園前に病院に連れて行くと「まだ喋れないのは何かあるのかもしれない」と言われ、ユズル君は病院で詳しく調べてもらう事になりました。「きっと何でもないわ」、「ユズルは天才かもしれないぞ。アインシュタインも3歳まで話さなかったっていうからな」と、パパとママはハズキちゃんを安心させるように笑って言いました。

調べてもらった結果、ユズル君は耳が殆ど聞こえていませんでした。結果を先生から聞かされると、ママは泣き崩れパパも涙を堪える顔をしていました。ハズキちゃんとユズル君は、キョトンとその様子を眺めていました。

それからは、パパとママが落ち込んでいる日が続きました。ハズキちゃんはつい「こんなパパとママ嫌だよ…」と言ってしまいました。パパとママはハッとした顔になり、その日から毎日、ハズキちゃんの前では一生懸命明るく振舞うようになりました。しかし、ご飯の時間もみんなでTVを観ていても、やっぱり前とは違いました。なんだか家の中が急に暗くなったようでした。

そんなある日、ハズキちゃんは胸を弾ませながら保育園から戻りました。「ただいまー!」と同時にユズル君の手を引き、なにやら二人で部屋でコソコソ。ママが部屋を覗こうとすると、「入っちゃだめー!」と追い出されてしまいました。

その日の夜、ハズキちゃんはパパとママを呼びました。みんなが集まると、ハズキちゃんは何やら手を動かし出しました。するとユズル君が同じように手を動かし出します。パパとママは顔を見合わせました。手話を習い始めていたパパとママは、その手の動きが何を言っているのかすぐにわかったのです。驚いているパパとママを見ながら「『お姉ちゃん』って言ったんだよ!」ハズキちゃんは嬉しそうにそう言いました。

「保育園の先生がね、ユズル君とお話しするためにみんなで手話を覚えようねって言って、歌の時手話を見せてくれたの。それで『お姉ちゃん』って教えてくれたんだよ!だから、ユズルと一緒にいっぱい練習したの!」と、ハズキちゃんは嬉しそうに何度も手を動かしました。

すると今度はユズル君がママに向かって、手話で「ママ」と言いました。次にパパに向かって「パパ」と手を動かします。
それを見て、ママの目から涙が溢れました。「始めてママって呼んでくれたのね!」パパも「ああ、パパだよ、パ・パ!」と泣きながらユズル君を抱き締めました。

するとハズキちゃんが、「でもね、『お姉ちゃん』って一番に呼んでもらったんだからね!私が家族で一等賞だからね!」と、誇らしげにもう一度『お姉ちゃん』と、手を動かして言いました。「手話」を使って、みんなでお話ができるようになったハズキちゃんの家には、また楽しい笑い声が毎日聞こえるようになりました。

 

おしまい

 

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