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ソウタ君には足の悪いお兄ちゃんがいましたが、一緒に歩いているのを見られたくなくていつも速く歩いていました。
そんなお兄ちゃんの周りには、いつもたくさんの友達がいました。ある日、お兄ちゃんが手術をすることになり、ソウタ君は自分のせいでお兄ちゃんが事故に遭ったことを思い出してしまいます。しかし、お兄ちゃんは事故のことを気にしておらず、ソウタ君は驚きます。
どんな時でも明るく前向きにしていると、周囲も明るくできることがわかるお話です。
ソウタ君のお兄ちゃんは、足がうまく曲げられないので、歩き方が他の人と少し違っていました。そのせいで学校へ行くにも歩くのにとても時間がかかってしまいます。
ソウタ君は、そんなお兄ちゃんと一緒に歩いているのを見られたくなくて、いつも早めに歩くようにしていました。
ある日学校で、ソウタ君はお兄ちゃんが両側を友達に支えられて階段を登っている姿を見かけました。周りの友達はお兄ちゃんに合わせてゆっくり歩いてるようでした。それを見たソウタ君は、心が少し苦しくなりました。
お兄ちゃんは生まれつき足が曲がらないわけではありませんでした。
ソウタ君が保育園のころ、帰り道でソウタ君が道路に飛び出してしまい、手を繋いでいたお兄ちゃんの方が、車にぶつかる事故に遭いました。その時の事故のせいで、お兄ちゃんの足は曲がらなくなってしまったのです。
ソウタ君はその事がずっと気になっていました。そのせいでお兄ちゃんと仲良くすることができず、だんだん遊ばなくなり、少しずつ離れていきました。
ある日、身体が大きくなってきたお兄ちゃんは、少しでも足が動けるように、また手術をすることになりました。ソウタ君は手術の話で事故のことを思い出してしまい、うつむいていると、「ソウタのせいじゃないよ!俺が飛び出しちゃったんだから!」とお兄ちゃんは笑って言いました。
お兄ちゃんは何も気にしていませんでした。気にし過ぎていたのはソウタ君の方だったのです。
ソウタ君は「もしもあの時、僕が事故にあっていたら・・・?こんな風に明るく話せたかな・・?なんてお兄ちゃんは強いんだ。」と驚きました。
自分がたいへんな時でも、周りの人たちを明るくするので、お兄ちゃんの周りにはいつも沢山の友達がいました。外であまり遊べないおにいちゃんのために、家にもよく友達が遊びに来ていました。そんな時はお兄ちゃんの部屋からいつも楽しそうな笑い声が聞こえてきます。ソウタ君はそんなお兄ちゃんが羨ましかったのかもしれません。
しばらくしてお兄ちゃんが退院しました。ソウタ君は退院してきたお兄ちゃんに合わせて、ゆっくりと歩くようになりました。お兄ちゃんから「ありがとうな!」と言われたソウタ君は、少し照れくさそうに微笑みました。
おしまい