チャンネル登録:
お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
弟の面倒を見るために、大好きな野球を辞めたショウ君のお話です。
野球が大好きだったショウ君はある日突然野球をやめてしまいます。
学校の作文発表で、弟の面倒を見るために野球をやめたこと、本当は辞めたくなかったことを知った野球クラブの仲間たちは、弟の面倒をみんなで見るので、ショウ君をクラブに戻して欲しいとコーチにお願いしました。
みんなのおかげでショウ君は野球クラブに戻り、一緒に練習に来る弟も野球クラブの皆に愛される存在になりました。友人を思いやる大切さが学べるお話です。
ショウ君は野球が大好きな男の子。中学校に入ると毎日、日が暮れるまで野球クラブの仲間と練習をしていました。
しかし、ある日を境にショウ君は野球の練習に行くのを辞めてしまいました。友達に理由を聞かれても、「野球に飽きたから」としかショウ君は答えませんでした。野球を辞めたショウ君は、学校が終わると急いで家に帰るようになりました。
しばらくして、学校の授業で、「私の家族」というテーマで作文を書くことになりました。 作文発表の日、ショウ君は自分の作文を読み始めました。
「僕には弟がいます。弟はいつも僕の後を着いてきます。お母さんが仕事に行く事になったので、僕が保育園のお迎えに行って、お母さんが帰ってくるまで、家で一緒に遊んであげます。・・・本当は大好きな野球を辞めたくなかったけど・・・。」ショウ君は涙ぐみながら言葉に詰まってしまいました。 教室がシーンとなりました。
少しすると、落ち着きを取り戻したのか、ショウ君が続きを読み始めました。「でも、僕は弟の事も大好きだし、日曜日には、お父さんが一緒にキャッチボールをしてくれるので、僕は家族みんなの事が大好きです。」読み終わると拍手の音が教室中に響き渡っていました。
その日野球クラブの仲間は、みんなでコーチにお願いに行きました。「ショウ君の弟をみんなで面倒みるから、またショウ君をクラブに戻して下さい!」みんなはコーチに頭を下げました。事情を聞いたコーチは、早速ショウ君の家に電話をかけました。
翌日、弟を迎えに行った後、ショウ君は弟と一緒にグラウンドへ向かいました。
「よお!はじめまして!」クラブのみんなは代わる代わる弟に挨拶をしにやってきました。初めはショウ君の後ろに隠れていた弟も、次第に慣れてきたのか、練習が終わる頃には「ショウおにぃちゃん、がんばれー!」と大きな声で応援していました。
それから毎日、ショウ君は弟と一緒に練習に行きました。弟はいつも大きな声で「ショウおにぃちゃんがんばれー!!」と応援しました。それを観ていたコーチは、弟をクラブの応援団に任命しました。弟の大好きな車のシールが貼られたメガホンをコーチからもらった弟は、ますます大張り切りで応援しました。
いつの間にか、クラブのみんなの名前を覚えた弟は、もらったメガホンで「りょうにぃちゃんがんばれー!」「れんにぃちゃんがんばれー!」と、クラブみんなを応援するようになっていました。
弟は、ショウ君の弟でもあり、みんなの弟でもありました。それはショウ君がクラブを卒業するまで続き、弟はたくさんの人から愛され続けました。
おしまい