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レン君のクラスには、いつもソワソワしているはやと君がいました。
はやと君は先生にあてられても読むのに時間がかかりましたが、先生はじっと待っていました。レン君はそのことを不満に思っており、はやと君を好きになれませんでした。
3学期、先生が定年退職することになり、クラスで感謝の発表をすることにします。はやと君は先生に歌を贈ることで、普段とは違う姿をみんなに披露し、クラス中が感動につつまれます。苦手なことよりも得意なことに目を向ける大切さがわかるお話です。
レン君のクラスには、いつもソワソワしている子がいました。名前は、はやと君。はやと君は、国語の時間に先生にあてられても、一行読むだけなのに、すごく時間がかかりました。先生は、はやと君が読み終わるのをただジッと聞いていました。
レン君は心の中で、(どうして小林先生は、ちゃんと読めない子をわざわざ当てるんだよ!!ボクのほうがスラスラ読めるから手をあげたのに、はやと君をあてるなんて、時間のムダじゃないか。)といつも不満に思っていて、レン君ははやと君のことがあまり好きにはなれませんでした。
3学期、先生が3月いっぱいで定年退職することになりました。
レン君は「今まで3年間も担任の先生だったんだから、みんなで何かしてあげようよ!!」とクラスのみんなに提案しました。
「それいいね!そうしよう!」みんなで話し合い、得意なことを先生の前で1人づつ発表することになりました。
あっという間に3学期が終わり、いよいよ発表の日。
レン君は、先生がいつも優しかったこと、大好きだったことを作文にして、スラスラと読みました。他にも、先生の似顔絵を描いた子や、泣いてうまく発表できない子もいました。
先生は、一人ひとりの発表に涙ぐんで喜びました。
ついにはやとくんの番になりました。
レン君もクラスのみんなも、(どうせまたソワソワして何もできないで終わるんだろう)と思っていました。
教室がザワザワしだすと突然、天使のような歌声が聞こえてきました。それは、はやと君の歌声でした。みんなの前に立ったはやと君はソワソワすることもなく、しっかりと先生とみんなの方を向いて歌っていました。
その歌声は堂々としていて、先生へのありがとうの気持ちを歌にして伝えていました。
みんなは静まり返り、はやと君の綺麗な歌声を聞きました。
はやと君がこんなに歌が上手だなんて、みんなは想像もしていませんでした。
音楽の授業で歌うことはありましたが、はやと君はいつもピアノを弾いている先生の近くで歌っていたので、みんなきちんと聞いたことがありませんでした。堂々と歌うはやと君を見て、先生は今までで一番感動したように、ハンカチで涙を拭いていました。
レン君は堂々と歌うはやと君を見ながら、ソワソワして少し苦手なことがあるというだけで、はやと君のことを好きになれなかった事を恥ずかしく思いました。
はやと君の歌が終わると、クラスのみんなは学校中に響き渡るほどの拍手を送りました。
レン君は苦手なことよりも得意なことに目を向ける大切さを、はやと君から教えてもらいました。
おしまい