あらすじ…

Tシャツやズボンが、身につけてくれる子供たちにメッセージを送るお話です。

してほしくない事をはっきりとした口調で伝えるTシャツに対し、友達同士のような親しみを込めた口調で要望を伝えるズボン。
口調は違えども、子どもたちが大きくなるまでの短期間、自分たちを身につけてくれる喜びの気持ち、
そして、子どもの安全を願う気持ちは、両者に共通しているのです。

ようふくの気持ち（ようふくのきもち）

アタシTシャツ。長い袖も短い袖もいろいろあるの。絵が描いてあったり、ポケットがついていたりもするのよ。

アタシを着る時は、ちゃんと前と後ろを間違えないで着替えてね。せっかくオシャレな絵が描いてあっても背中じゃみんなから見えなくなっちゃうでしょ。君の首もなんだか苦しそうよ。

ご飯を食べたあと、私でお口を拭かないで。ずっと綺麗でいたいから、首が茶色く汚くなるのは嫌なの。

汚れた手も、手を洗った後も私で拭くのは辞めてね。私はタオルじゃないの。それにね、君の手にもバイキンが付いちゃうかもしれないから、いつも心配なの。

だけど、たくさん私を着てくれてありがとう。「これ素敵でしょ？」って、お友達に自慢してくれて嬉しいのよ。いつまでも大切に使ってね。

ボクはズボン。長いズボンもあれば短いズボンもある。中がふわふわになってたり、ポケットがいっぱい付いているのだってある。

ヒザをついてズリズリ滑って遊ぶの楽しいよね。でもそれをやると、ボクのお膝が破けちゃう。お膝が破けてきみが足を擦りむいちゃわないか心配だよ。

もし破けちゃっても、すぐに捨てないで欲しいな。かっこいいワッペンを付けたら、もっとかっこいいズボンにボクは変身できるんだ。

「これ大好きなの！」って、ちょっと短くなってもボクを履いてくれてありがとう。ずっと一緒にいられてボクは嬉しいよ。

だけど本当に短くなったら、ボクのことを君の弟にあげてほしいんだ。君の弟はいつもボクをみて「お兄ちゃんのズボンかっこいいー！」って褒めてただろ？ 「これ。あげるよ。」って君が言ったら、きっと弟は君のこともっと好きになるんじゃないかな。

もし兄弟二人で履いてくれたらボクはなんて幸せものなんだろう。大きくなった君とも離れないで一緒にいられるなんてすごいじゃないか。

私達はお洋服。みんなみーんな君が大好き。でも私達は君がお兄さんお姉さんになるまでの、少しの間しか一緒にいられない。だからその時が来るまでは、一緒にたくさん遊ぼうね！

おしまい

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