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幼なじみのシン君とハナちゃんのお別れのお話です。
毎年の恒例で楽しみにしている花火大会を目前に控えたある日、ハナちゃんの引越しを聞かされたシン君。楽しみなはずの花火大会が、一気にお別れの行事となってしまいます。 引越しするハナちゃんにきちんとお別れを言えなかったシン君に対し最後に再会を誓う言葉を残してくれたハナちゃん。
花火大会が、今度は新しい再会の行事になることを共に願っている事でしょう。
シン君のお家の隣には、同じ5歳のハナちゃんが住んでいます。 二人は産まれた時からずっと一緒で幼稚園も一緒です。毎日ずっと遊んでいたので二人はとっても仲良しです。
夏休みになると、海では花火大会があります。二人はいつも、近くの砂浜で打ち上げ花火を見るのが楽しみでした。 「ねぇママ、あと何回寝たら花火やるー?」夏休みになってから、毎日シン君はママに聞いています。
ママは少し悲しそうに「シン君、ハナちゃんと花火を見るのはこれが最後なの。ハナちゃん、花火大会が終わったらお引越ししちゃうんだって」と言いました。「え!!なんでー!!!そんなのやだよ!」シン君は思わず泣いてしまいました。
次の日からシン君はママに花火大会の話をしなくなりました。 「花火大会の日なんて来なければいい」シン君はずっとそう思っていました。 お別れが悲しくて、ハナちゃんとも遊べなくなりました。顔を見ると泣いてしまいそうになるからです。
ついに花火大会の日がやってきました。 ピンポーンとお家のインターフォンがなります。 ハナちゃんがシン君を迎えに来てくれました。
「シンくんー!砂浜まで一緒にいこうよー!」いつもの明るいハナちゃんの声がすると、シン君は渋々部屋から出てきました。
ママと一緒にみんなで砂浜へ向かいます。 シン君とハナちゃんはシートを敷き、隣に座りました。ハナちゃんはとても嬉しそうにはしゃいでいます。
ヒュ〜…ドーン!! 花火大会が始まりました。 「きれいだねー!!」ハナちゃんもママ達も綺麗な花火に大喜びです。シン君は「この花火が終わりませんように。もっとハナちゃんと一緒にいられますように。離れないでいられますように。」と神様にお願いしました。
ヒュルルル〜ドーン!! ドーン!バチバチバチ〜!! たくさんの打ち上げ花火が夜の空にキラキラと咲きます。
ヒュ〜…ドーン!!! 最後の花火が打ち上がると、ハナちゃんとのお別れの時間です。 「またあおうね!」ハナちゃんがにっこり微笑みました。 シン君は寂しくて、ママの後ろに隠れてしまいました。
「シン、ちゃんとハナちゃんにお別れしないと」ママがシン君を引っ張りますが、シン君は涙を流しながらママの足にがっしりとしがみついて離れませんでした。
帰り道、シン君はずっと泣いていましたが、結局お別れを言えないままお家に着いてしまいました。「シン君、さようなら。。。」ハナちゃんが悲しそうにお別れを言います。シン君は目から大粒のナミダをポタポタ流しながらお家の中へ逃げてしまいました。
次の日、朝早くママがシン君を起こします。「ハナちゃんにちゃんとお別れ言おうね。」ママに起こされて外に出ると、ハナちゃんはもう引っ越しの車に乗っていました。
シン君はやっぱりママの後ろに隠れてしまいました。ハナちゃんが悲しそうな顔で、何か言いたそうに、シン君をジッと見ています。
シン君は勇気を出して「元気でね…」と小さな声で小さく手を振ると、「うん!!シン君も元気でね!!!また絶対会おうね!ハナ、大きくなったらシン君に会いにくるから!お約束ね!」ハナちゃんはとびっ切りの笑顔で大きく手を振り、車は出発していきました。
それから何回目かの花火大会。シン君は7歳になりました。「ハナちゃん元気かな…」 砂浜にいるシン君は、ハナちゃんと、神様にしたお願いを思い出しながら、新しい友だちと一緒にキラキラと夜空に咲く花火を眺めていました。
おしまい