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おばけの国で生まれたおばけ姫に、悪魔によって呪いがかけられるお話です。
悪魔の正体は姫の誕生祝いに一人だけよばれなかった天使です。悪魔はひどい呪いをかけました。 一人の天使は呪いに対抗し、姫に百年の眠りと王子様のキスで目を覚ます魔法をかけました。 百年後、姫は王子様のキスで目を覚まし、二人の結婚式が行われます。今度は悪魔となった天使もよびます。 悪魔は反省し、天使の姿に戻りました。
このお話は、自分の過ちを認め、相手を許す大切さが学べるでしょう。
あるおばけの国のお城で、お姫さまが生まれました。 おばけの王さまは国中のおばけをよんで、お祝いをしました。 お祝いには、十二人の天使もやってきました。 だけどただ一人、十三人目の天使だけは、お祝いによばれませんでした。 実は、お城には天使たちの使うお皿が、十二枚しかなかったのです。
お祝いによばれた天使たちは次々に進み出て、おばけのお姫さまにおくり物をささげました。 「きれいなおばけに、なれますように」 「人を脅かすことが上手くなりますように」 「だれよりも怖がられるおばけに、なりますように」 そして十二人目の天使が、進み出たときです。 城中に、恐ろしい声がひびきました。
「よくも、わたしをのけ者にしたね。 お前は十五才の誕生日に人間界へ行き、そのまま二度と、この国へは戻って来れないのだ」 十三人目の天使は、そう言うと消えてしまいました。実は十三人目の天使は、お祝いに呼ばれなかった悲しみで、悪魔に変わってしまったのでした。
「大変だ! どうすればいいのだろう」 おばけ達は、大さわぎです。 すると、十二人目の天使は 「おばけ姫さまは、人間界へは行きません。もし扉を開けてしまっても百年の間眠るだけ。 それから立派なおばけ王子様のキスで目を覚まし、そのおばけ王子様と結ばれるでしょう」と魔法をかけました。
だけどおばけの王さまは、心配でたまりません。 「国中の人間界への扉を1つ残らず封印してくれ!」 命令を受けたおばけ達は、人間界へ続く扉を全て封鎖しました。 おばけの王さまも、これでホッとしました。
やがておばけ姫は、すくすくと大きくなって十五才になりました。 ある日の事です。 おばけ姫は一人で、お城の中をふわふわお散歩していました。 どんどんお城の上へ上がっていくと小さな入り口がありました。 「まあ、こんなところに部屋があったなんて。・・・ここには、何があるのかしら?」
おばけ姫が扉を眺めていると、お婆さんおばけがどこからかやってきました。 「中に何があるのかみたいのかい?」 「ここは何のお部屋なの?」おばけ姫が聞くと 「人間の世界だよ…ヒヒヒヒヒ…」 そう言うと、扉を開けました。
何も知らないおばけ姫は、扉をくぐりました。 そのとたん、人間の叫び声が聞こえました。 「う…うわぁ〜!!!お化けが出た〜!!!!」 人間の叫び声が聞こえると 「イッヒヒヒヒー!うまくいったよ」 お婆さんおばけは笑い声を上げ、どこかへ消えてしまいました。 実は呪いをかけた悪魔がおばあさんに化けて、おばけ姫を待っていたのです。
悪魔の呪いがおばけ姫の体にまわる前、十二番目の天使の魔法が始まりました。 おばけ姫は魔法の光につつまれると、バッタリと倒れて、そのまま眠ってしまいました。
魔法の光はお城全体をつつみました。 すると、お城の時計がピタリと止まりました。 それだけではありません。 なんと空を飛んでいたおばけ達も浮いたままで眠り、ネズミを追いかけていた化けネコは屋根の上で眠り、料理をあたためていた火の玉も眠ってしまったのです。 なにもかもが眠ったお城の回りで、蜘蛛の巣だけが増えていきました。蜘蛛は土の中にいて、魔法にかかっていませんでした。
そして長い年月がすぎたある日、立派なおばけ王子が蜘蛛の巣のそばへやって来ました。 「ここが蜘蛛の巣城か。ここには美しいおばけ姫が眠っているという話だが」 おばけ王子は蜘蛛の巣をどんどん食べ、お城の中へ進みました。少し進むと突然蜘蛛の巣がスルスルと動いて、おばけ王子に襲いかかりました。
おばけ王子は襲いかかる蜘蛛の巣をどんどん食べますが、いくら食べてもきりがありません。 とうとうおばけ王子は蜘蛛の巣にグルグル巻にされてしまいました。もうダメだと思った時、突然蜘蛛の巣がみるみる消えていき、お城へ続く道まで現れました。
ちょうど今日が、百年目だったのです。 おばけ王子はお城へ行くと、おばけ姫が眠っている部屋に入りました。 「なんて、綺麗なおばけのお姫様だろう」 おばけ姫を見つけた王子は、思わずキスをしました。
すると眩しい光がお城全体に放たれて、百年眠り続けていたおばけ姫の目が、パッチリと開いたのです。 いえ、おばけ姫だけでなく、お城中が眠りから覚めました。
化けネコはネズミを追いかけはじめ、おばけコックは火の玉を鍋の下に放り込みました。 空を飛んでいたおばけ達も何事もなかったように、また飛び続けました。
眠りから覚め、全ての事を知ったおばけの王さまは、城中のみんなに言いました。 「みなの者、悪魔の呪いはとけたぞ。さあ、結婚式の準備をするのだ。今度はちゃんとお皿を全員分用意するのだぞ!」 城中のおばけ達は大喜びです。準備もあっという間です。お皿はちゃんと十三枚用意しました。 もちろん呪いをかけた悪魔の分です。
結婚式が始まりました。パーティーが終わる頃、悪魔がやってきました。しょんぼりしている悪魔をおばけ姫が席に座らせると、みるみるウチに元の天使の姿へと変わっていきました。 それからは、国中みんなで、なかよく幸せに暮らしました。
おしまい