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昔話「三枚のお札」で小僧が、栗拾いに出かけた際、親切な老婆を鬼ババと間違えてしまいます。
そして、和尚さんからもらった三枚のお札を使ってしまいますが、そんな中でも親切な老婆は、小僧の落としていった栗を届けてくれます。
老婆の相手を思いやる気持ちに小僧が触れ、間違えてしまったという罪悪感と共に、
次は間違えないようにしようという姿が学べます。
昔、ある山寺に、和尚さんと小僧さんがいました。寺の裏山には栗の木がたくさんあって、秋になるとりっぱな栗が数多く実りました。
ある日、小僧さんは言いました。 「和尚様、おれ、裏山に栗をひろいに行きたいな。」 すると和尚さんはあわてて言い返しました。 「いかん、いかん、裏山には鬼ババが出るときもある。もしであって食われたら大変だよ」 それでも小僧さんは聞きません。 「鬼ババなんかいるもんか。おれ、どうしても行く!」
和尚さんは諦めて、 「それなら、これを持って行きなさい。困った時には、きっと役に立つ。」 と言って、お札を三枚、もたせてくれました。
小僧さんが裏山に行くと、地面は栗でいっぱい。風が吹くたび栗の実がバラバラ落ちてきます。 「こっちにもある。あ、あっちにも」 と夢中になって拾っているうち、いつしか山の奥深くへ入り込んでしまいました。
ふと顔をあげると奥の方に誰か立っています。 よく目を凝らして見ると、女のようなかっこうで髪がボサボサに長く、おばあさんのように腰が曲がって見えます。 「まさか!」 小僧は驚いて栗の袋を落としてしまい、栗が辺りに散らばってしまいました。
その様子に気づいたおばあさんはこちらに近寄ってきました。 小僧はそれどころではありません。一目散に走って山をおりていきます。 「わぁー鬼ババだぁー。助けてー!」 走りながら後ろを振り返ると、鬼ババは、なにやら手を上げて小僧を追いかけてきます。
小僧は朝寺を出る前に和尚にもらったお札の事を思い出しました。
「そうだ、このお札で。そら、砂山よでろー」そう叫び後ろに向かってお札を投げると、砂山が現れました。しかし、鬼ババは砂山を乗り越えてこっちに向かってきます。
走りながら小僧は「今度は大きな川出ろ!」
すると、川が現れます。それでも鬼ババは川に飛び込みざぶざぶ泳ぎ渡ってきます。
ついに小僧は最後の一枚を使いました。「えーい!大火事出ろ!」
山の木が燃えはじめ、みるみる焼け広がっていきます。
小僧はもう後ろを振り返りません。全速力で寺に向かって走りました。
ようやく寺が見えてきました
「ぜぇぜぇ、ひぁーやっと寺だ。和尚さーん助けてー!」
後ろを振り向くと、鬼ババはまだこっちに向かって来ていました。
小僧は寺に飛び込むと、和尚さんに助けを求めました。
「和尚様!鬼ババです!鬼ババがおいらを追っかけて、そこまできています!」
「なんじゃと!鬼ババに出会ったのか!奥に隠れていなさい。わしがいってこよう。」
そう言うと和尚さんは表に飛び出しました。
小僧は奥の部屋で震えて隠れていました。
5分もたったころでしょうか。奥の部屋の扉がガラッと開きます。
小僧が柱の陰から覗くと、なんと和尚と鬼ババが並んで立っているではありませんか。
小僧は目を丸くして驚いています。そして、鬼ババの手にはなにやら袋が。
「あ、おれの栗袋!」と小僧は指さして言いました。
「これ小僧、誰が鬼ババじゃ。この人は山で転んだお前を心配して近づいたら栗をほったらかしで逃げて行かれたと言っとるぞ。お前にわざわざ栗をわたそうとここまで来てくれたいい人ではないか。」そうして和尚はお礼を言うと、親切なおばあさんは帰って行きました。
小僧は(しまった!びっくりして鬼ババと思い込んで間違えてしまった。。あの人には悪いことしてしまったな。。見た目で判断せず、ちゃんと確認しないとな。)と心に誓いました。
こうして、より真面目に修行にはげむようになった小僧でした。
おしまい