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ノボル君には苦手なおじいちゃんがいました。
ある日、おじいちゃんが入院し、ノボル君はお見舞いに行きます。
おじいちゃんはお見舞いに行くと折り鶴をおばあちゃんに渡していました。
しばらくしておじいちゃんは亡くなります。
ノボル君が1年生になり、おばあちゃんから渡された缶を開けました。
その中には折り鶴があり、裏にはおじいちゃんがノボル君を思う気持ちが書かれていました。言葉だけでは伝わらない気持ちがあることがわかるお話です。
ノボル君には、いつも怒鳴ってばかりいるおじいちゃんがいました。ノボル君は、そのおじいちゃんが怖くて苦手でした。
ある日、そのおじいちゃんが病気で入院してしまったのです。ノボル君はあまり行きたくなかったのですが、日曜日にはいつもパパやママ、おばあちゃんに連れられてお見舞いに行っていました。
お見舞いにいくたびにおじいちゃんは「テスト100点じゃないのか!?」「駆けっこは一等賞でなきゃ男じゃないぞ!」などと怒鳴るので、いつもノボル君は半ベソ。
帰り道でおばあちゃんに「おじいちゃん、本当は優しくて甘えん坊なのよ。ノボル君の事も大好きなの。でも不器用なのよね〜」とよく慰められていました。
そんなおじいちゃん、お見舞いにいくと決まってすることがありました。みんなが帰るときに、折り鶴を一つ、おばあちゃんに黙って手渡すのです。おばあちゃんはいつもそれを嬉しそうに受け取ると、大事そうにカバンのポケットにしまっていました。
そんなやり取りがしばらく続いていたのですが、病気は良くならず、おじいちゃんは亡くなりました。おじいちゃんは最後まで折り鶴をおっていました。最後の折り鶴は、形が不格好でしたが、おばあちゃんはその折り鶴を握りしめて泣いていました。
お葬式も終わり、少し落ち着いた頃。ノボル君はピカピカの1年生になりました。
おばあちゃんに「小学校入学のお祝いをあげるからいらっしゃい」と言われ部屋を訪れると、おばあちゃんはベッドの下からお煎餅の缶を引っ張り出しました。
「あけてごらんなさい。」と促されて、ノボル君がその缶開けると、中には折り目のついた折り紙が丁寧に広げられ、整頓されて入っていました。
柄を見てノボル君は、その折り紙はおじいちゃんが入院していたとき、帰るときにおばあちゃんへ渡していた折り鶴だとすぐに気づきました。そして、その折り紙の裏には、一枚一枚に短い文章が書かれていました。
『今日の肉じゃが、美味しかった。ありがとう』
『今日は検査だったんだって?おまえも体に気を付けろ』
『鯖みそが食べたい。いつものように甘めのをな。今日またノボルを泣かせてしまったよ。怒鳴ってしまってから「しまった」と思ったよ。今日こそ頭を撫でてやろうと思ってたのに』
『今日はお風呂に入れてくれてありがとう。気持ち良かった!また一緒に温泉行きたいなぁ。ノボルはおじいちゃんとお風呂に入ってくれるかな』
『鯖みそ美味しかった。ありがとう』
『おはぎ美味しかったよ。ノボルと食べたかったな。今度こそ「おじいちゃんのお膝においで」と言ってやろう』
そして最後におばあちゃんは、「おじいちゃんからの入学祝いよ」と、ノボル君が好きな恐竜が描かれている折り鶴をノボル君に渡しました。渡された折り鶴を広げてみると、幼稚園児が書いたようなたどたどしい字で『ノボル、入学おめでとう。』と一言書いてありました。
おばあちゃんが言っていた通り、おじいちゃんは優しくてちょっと甘えん坊で、そしてノボル君の事が大好きでした。
ノボル君はおばあちゃんに抱きつき「こうやって、おじいちゃんにもっと甘えればよかったな〜」と顔をうずめてつぶやきました。
おしまい