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昔話「3匹のこぶた」で子ブタがオオカミに仕返しをしたらという視点から作られた物語です。
オオカミ退治を成功させた3匹は、他のオオカミも倒そうとオオカミの住む森に行きます。 その途中で出会った子犬は母がオオカミにさらわれたと言うので、一緒に森に行くことにしますが、実は子犬はオオカミの子供で、自分たちは悪いことをしたオオカミとは違い、平和に暮らしたいだけだと子ブタたちに知らせます。
この話からは見かけや思い込みで判断してはいけないということが学べます。
こぶた達は三番目の子ブタの活躍により、家を吹き飛ばそうとしたオオカミを追い払うことができました。一番目の子ブタは言いました。「僕たちが力をあわせればこんなもんさ。怖いものなんかあるもんか。」
一番目と二番目のお兄ちゃん2匹は大喜びしていましたが、心配性な三番目の子ブタは言いました。「いや、今回はたまたま上手くいったけど、毎回こんな上手くいくはずが無いよ。今回は運がよかったと神様に祈ろうよ。」
ですが、お兄ちゃん2匹は言います。
「そんなことはないさ。俺たちが力を合わせれば大丈夫さ。」
「そうだ、このまま俺たちでオオカミを退治しにいくのはどうだろう。オオカミがいなくなれば、父さんと母さんも喜ぶし、村のみんなも喜ぶよ。」
三番目の子ブタはこう答えました。
「お兄ちゃんだめだよ。オオカミの住み家の森には沢山のオオカミがいるんだよ。次に相手にするのは一匹とは限らないんだから、それは無理だよ。」
お兄ちゃん2匹はこう答えます。
「この臆病者め。お前は父さんや母さんが襲われてもいいっていうのか。」
三番目の子ブタは言いました。「それは聞き捨てならないな。僕は臆病者じゃないし、父さんと母さんが襲われてもいいわけないよ。」「分かったよ。それじゃ、次は三匹でオオカミを退治しに行こうじゃないか。」そして、三匹はオオカミの住む森に出かけたのです。
三匹は森の入口で子犬に出会いました。
子犬は三匹を見かけると、こちらに駆け寄ってきました。
「助けてください。母さんがオオカミにさらわれちゃったんです。」
三匹は言いました。「俺たちは今からオオカミを退治しに行くんだ。一緒に君の母さんも助けてあげるよ。」
子犬は喜んで言いました。
「ありがとうございます。それじゃ僕も一緒に行きます。僕はこの森の道に詳しいので一緒に連れて行ってくれれば必ず役に立ちます。」
三匹は言いました。「それじゃ道案内をお願いするよ。さぁ、君の母さんを助けに行こうじゃないか。」そして、三匹と子犬は森の中に入って行きました。
しばらく歩いた三匹は疲れてきたのか、少し休憩をとりたくなりました。
一番目の子ブタが子犬に言いました。
「ここらへんで少し休みたいんだが、何処か安全なところはないかい。」
子犬は言います。
「そうですね、もう少し行ったところに山小屋があるんですけど、そこで休むのはどうでしょうか。」それを聞いた三匹は子犬の道案内で山小屋に向かうことにしました。
しばらく歩くと山小屋が見えてきました。
三匹と子犬は山小屋に入ると、中には特になにもありませんでしたが、座って休むことにしました。二番目の子ブタは子犬に言いました。
「なんだか喉が渇いたね。なにか飲み物は無いかい。」
子犬はこう答えました。「外に井戸があるので、そこで喉を潤すといいですよ。」
そう言われると、二番目の子ブタは井戸に水を飲みにいきました。
しばらく休んでいましたが、なかなか二番目の子ブタが戻ってきません。
おかしいと思った一番目と三番目の子ブタは外に様子を見に行くと、二番目の子ブタは何処にもいませんでした。「もしかして、オオカミに連れ去られたのかもしれない…」「それは大変だ!早く助けないと!」そう言って、一番目と三番目の子ブタは子犬とともに、さらに森の奥に入って行きました。
子犬は言います。
「ここからはオオカミの縄張りになります。何があるか分からないので気をつけてください。」
一番目の子ブタは子犬に言いました。
「お前、この森の事、本当に詳しいんだよな。だったら、先に行って様子を見てきてくれ。」
三番目の子ブタは言いました。
「お兄ちゃん、こんな小さな子供になんてこと言うんだい。一人で進ませるなんてかわいそうだよ。」
一番目の子ブタはこう答えました。
「かわいそうと思うなら、お前が一緒に行って見てくればいいだろ。俺はここで待っているから、さっさと行ってきてくれ。」
三番目の子ブタは言いました。
「分かったよ。それじゃお兄ちゃんはここで待っててくれ。」
三番目の子ブタと子犬は先に進んで行きました。
しばらくすると、「ギャァー。」と誰かの叫び声が聞こえてきました。
一番目の子ブタはここにいたらまずいと感じ、一目散に走り出しました。そして、しばらく走り続けると、先程休憩した山小屋に辿り着きました。
「この山小屋に隠れさせてもらおう。大丈夫さ、ここで待っていればきっとみんな戻ってくる。」
そう言って、一番目の子ブタが山小屋に入ると、なんと子犬が後ろを向いて立っていました。
子犬は言いました。「遅かったね。そんなに慌ててどうしたの。」
一番目の子ブタは言います。「どうしてお前がここにいる。弟はどうしたんだよ。」
子犬は答えました。「うん。今、会わせてあげるよ。」
一番目の子ブタは答えました。「当たり前だろ、早く会わせろ。無事なんだろうな!?」
すると、後ろから縄で縛られた二番目と三番目の子ブタが、オオカミたちと一緒に部屋に入ってきました。「兄さん!たすけて!」
一番目の子ブタは言いました。
「え!オオカミ!?どういうことだ!?」
子犬は言います。「まだ気が付かないのかい?僕は子犬じゃなくてオオカミだよ。君たち3匹がオオカミを退治するって話をしているのを聞いて、森の入口で待ち伏せしてたのさ。」
「なんてやつだ。お母さんがさらわれたって嘘をついたのか!」
「そうさ。だって君たちは僕らオオカミを退治しようとしてたんだろ?」
一番目の子ブタは言いました。「それはお前たちが悪い奴だからだろ。」
「僕たちが悪い奴?僕らが君たちに何かしたかい。君たちを襲ったのは、あの悪いオオカミだろ?この森で平和に暮らしていたいと考えている僕らと一緒にしないでくれよ。オオカミだからってみんな悪いやつとは限らなんだよ。」
その言葉を聞いて一番目の子ブタは思いました。(僕らは家を吹き飛ばそうとしたオオカミをやっつけることに成功して調子に乗っていたんだ。もし彼らが本当に悪い奴なら僕たちはきっと今頃食べられてしまっていただろう。)
反省した一番目の子ブタは言いました。
「ごめんなさい。たしかに君の言う通り、オオカミってだけで悪いやつだと決めつけていたよ。もう見かけや思い込みで判断するのはやめる。もしよかったら仲直りしないかい?」
オオカミたちはうなづき、それからはブタもオオカミもみんな仲良く暮らしましたとさ。
おしまい