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【絵本読み聞かせ】 もし「裸の王様」(はだかのおうさま)がだまされていたふりをしていたら/童話・日本昔話・紙芝居・絵本の読み聞かせ朗読動画シリーズ【おはなしランド】

2018-12-1

あらすじ…

昔話「はだかの王様」の「王様」が騙されたふりをしていたら、という視点から作られた物語です。

王様と仕立屋は組んでいて、正直者にしか見えない布が無いことを知っていました。
王様は騙されたふりをして家臣を慌てさせ、日ごろから自分の意見を言わない家臣たちを改心させようとしたのです。

このお話からは、相手のためを思うなら時には辛くても本当のことを言わなくてはならないということが学べるでしょう。

 

もし「裸の王様」(はだかのおうさま)がだまされていたふりをしていたら

 

ある国に洋服の大好きな王様がいました。この王様はいつもオシャレのことで頭がいっぱい。
今度のパレードには何を着よう?ズボンは何にしよう?
なんて、まだまだ先のパレードの格好をもう考えています。
こんなにお洒落が好きな王様の家来は大変なことでしょう。

そんなある日の朝食の時のこと。 「おはようございます。今日も素敵なパジャマですね。王様、朝食の準備が整いました。」と家来。 「うむ、食べよう。」そう言うと王様はせきに座り朝食を食べ始めました。 すると、王様の手がピタリと止まります。 「どうなさいました王様?」 家来が心配そうに聞くと。 「これを食べてみなさい」 とスープを差し出してきました。

家来はスープをゴクリッ。…??
「どうじゃ?」と王様。家来は「は、はぁ…」。
「不味いじゃろ。こんな不味いスープ飲んだことがないぞ。」と王様が言い出しました。
すると、家来が「不味いです、不味いです、こんな不味いスープ私も飲んだことありません!調理場の者を叱っておきます!」と言います。王様はふぅっとため息を1つ。
そうして、朝食をすませた王様は今日もまた家来を連れて新しい洋服を求めて出かけて行きました。

そんなある日、詐欺で有名な仕立屋が王様を訪ねてやってきました。
家来が「王様、詐欺師の仕立屋が会いたいと言ってますがいかがなさいますか?」と尋ねると。「ほう、通しなさい」

仕立屋が王様の前にしゃがみ込み包みを広げます。包みの中には何もありません。
「王様、今日は素晴らしい布をお持ちしました。この布は正直者にしか見えない素晴らしい布でございます。シルエットも抜群です。王様にお似合いになるかと。」そういうと、仕立屋は王様の顔を見上げました。

「なんと素晴らしい布だ。これは良い。ほれ、どうじゃワシに似合いそうではないか?」と家来に聞きます。「なんと素晴らしい!王様にピッタリの素敵な布ではありませんか!」と家来はいいました。「よし、この布で服を作り今度のパレードはこれを着よう!」と王様は張り切っています。こうして、正直者にしか見えない服を着てパレードに出ることになりました。

パレード当日の朝。
「おはようございます王様、今日はいよいよパレードです。ご準備のほどお願いします。」と家来は言います。「よし、あの服を着てと。さぁパレードにいくぞ。」
と王様。「なんとお似合いのことでしょう!王様素敵です!」と家来達はいいます!

そうして、パレードが始まりました国民の前に裸のままの王様は馬車の上で手を振っています。すると、あちらこちらから
「なんだあれは?!」 「裸だ!」「王様が裸だぞ!」「嘘だろ?!何やってんだ」「きゃー」観衆がどよめき始めました。中には王様めがけて卵を投げてくるものもいました。

これには家来も大慌て。「大変だ!どうしよう!」「あわわ、あわわ…」
そんな様子も気にせず王様はニコニコしています。
家来達は興奮した観客を落ち着かせるためにあちこち走り回っています。
ようやくパレードが終わりました。
城に戻った家来達はぜぇぜぇ息をあげてその場にへたれこみました。

そうして裸のまま家来たちの前に立ち、王様は言いました。
「どうしたのじゃそんなに息をあげて、パレードはマラソン大会とはちがうがのぉ。」
「んーなんか寒いのー。おい仕立屋、なんか良い服はないか?」と王様は言いました。

すると、柱のかげからなんと!あの仕立屋がニコニコしながら素敵な服を持ってやって来ます。
「王様、これは正直ものにも嘘つきにも見ることができる素敵な服でございます。」
と言いながら王様に着せました。「は、は、は、は!」王様は笑っています。家来達は唖然としてます。

王様は家来に向かって言いました。
「よいかお前達、相手のためを思うのなら辛くても時には本当のことを言わないといけない時もあるのじゃ。自分の意見をハッキリ言わないといけない時もある。ちなみに、ワシはこの城の料理を1度も不味いと思ったことはないぞ。」

そうです、王様は仕立屋と組んで日頃から自分の意見のない家来達に思いを知らせてやったのです。それを聞いた家来達は驚いて顔を見合わせていました、やがて落ち着きを取り戻し笑顔に。こうして家来達は嘘の言わない真っ直ぐな人間になりました。

よく朝。
「王様、おはようございます!美味しい朝食が出来ています!」
「王様、寝グセができてます!」
「王様そのパジャマ、丈が短くないですか?!」
「王様!鼻毛出てますよ!」
「王様!美味しいスープが冷めないうちに早く食べてください!」
と家来達。「……はは、よいよい。」と苦笑いの王様。こうして正直者の集まるお城となりました。

 

おしまい

 

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