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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
もし、桃太郎が鬼に育てられていたら?というお話です。
ある日、鬼の棟梁が漁をしていると桃が流れて来ました。桃から産まれた桃太郎は、人情深く正義感の強い鬼たちのおかげで立派な青年に育ちました。鬼の棟梁から、人間の村人たちが悪いお殿様に苦しめられていることを知った桃太郎は、計画を練ってお殿様を倒します。
桃太郎はお殿様がいなくなった村を良くおさめ、人間と鬼と一緒に仲良く暮らしました。
昔々あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしていて、遠く離れた島に鬼の頭領が住んでいました。 ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へお洗濯をしに、そして、鬼の頭領は、島の近くに漁に出かけました。
あばあさんが、川でお洗濯をしていると川上から大きな桃がどんぶらこ、 どんぶらこ…、どんぶらこ、どんぶらこ、どんぶらこ…とおばあさんは、 大きな桃に気付かず、川を流れていきました。 大きな桃は、更に川を流れ続け、どんぶらこ、どんぶらことどんどん流れ、 誰に気付かれることなく、とうとう川から海へ流れていきました。
それから大きな桃は、波にのまれながら、どこをどう流れたのか鬼ヶ島の近くまで流れ着き、 仕掛けられていた漁の網に引っかかってしまいました。
夕方になり、網を回収に来た鬼の頭領は、いつもと違う光景にびっくりして、慌てて網を回収しました。 網にかかった大きな桃に傷が付かないように慎重にほどき、大きな桃を洞窟の中に持ち帰えりました。
鬼の頭領は、子分と一緒に分け合って食べようと鉄の棍棒で思いっきり割ると 中から赤ん坊が大きな鳴き声とともに飛び出してきました。 驚いた頭領でしたが、奥さんとの間に子供がいなかったので、大切に育て、 この子供に桃から生まれたももたろうと名付けました。
この離れ小島に住む鬼たちは、鬼たちの中でも、人情に厚く正義感が強い、 ただ、鬼と言うだけで、人々に嫌われ、肩身の狭い思いをして暮らしていました。
すくすくと元気に育ったももたろうは、子分と一緒に武芸に励み、心と体の鍛錬を怠らず、 たくましく正義感の強い青年へと成長していきました。 ももたろうは、子供の頃から仲良くしていた2人の鬼と友情の誓いの酒坏を交わし、 生涯共に子分たちを守っていくことを誓い合いました。
ある日、ももたろうは、鬼の頭領から若い頃は、村人たちと仲良く暮らし、 ある夫婦に本物の子供のように接してもらっていた頃の話を聞きました。
若い頃の頭領は、村人たちと楽しく暮らしていましたが、ある日、悪さをする鬼たちが、 人間たちから食べ物などを奪ったり、暴れたり、人間たちを困らせていました。 これが原因となり、鬼たちは、人間から嫌われるようになり、だんだんと住む場所をなくし、 離れ小島に移り住むようになりました。
鬼の頭領は、若い頃の話を涙を浮かべながら、ももたろうに詳しく語り続けました。 そして、この悪さをする鬼たちとは誰なのかを教えました。 実は、欲に溺れた悪名高きお殿様が作り出した幻の鬼たちだったのです。
このお殿様は、村人たちから富を奪い、贅沢をしたかったので、 鬼と村人たちが仲良く暮らすことを良く思っていませんでした。 だから、何とか鬼たちとの絆を切らせるために悪い噂を立て、 卑怯な手で村人たちから、鬼たちを引き離していきました。
正義感の強いももたろうは、頭領から聞いた話に憤りを覚え、
現在の村人の暮らしを調べることにしました。島を離れたももたろうたちは、村人が住む地にたどり着き、旅をするふりをして、村人たちがどんな生活をしているのか調べ回りました。
すると頭領が言っていたことは本当で、村人たちは、年貢の取り立てに苦しみ、
生活に大変苦労していました。村人達から出てくる言葉は、お殿様の悪口ばかり…
ももたろうは、何とかして村人を救いたいと思い、考え続け、仲間たちだけで、
お殿様を退治出来る方法を思い付きました。
ももたろうは、まず、鬼たちが沢山の宝や長生きできるという食べ物を島に沢山隠し持っていると言う噂話を 村人たちとお殿様の家来たちにばらまきました。 するとすぐに欲に溺れたお殿様の耳にも届き、鬼たちが住むという島に向かうのでした。
しかし、ももたろうが言いふらした島は、入ったら最後、出てくることのできない人が住んでいないとても怖い島でした。
何も知らないお殿様は、たくさんの家来たちを引き連れ、鬼たちの宝と食料を探しに行きましたが、そんなものが見付かる訳もなく、探し疲れて動けなくなってしまいました。
一方誰もいなくなったお城をももたろうたちが攻め落とし、お城に蓄えられた全てのものを村人へと返し、村人たちは、村を豊かにして、平和に過ごしていきました。
そして、時は過ぎ、鬼たちも少しずつ村へと帰ってきて、村人たちと仲良く過ごしました。
富と平和をもたらしたももたろうたちは、村をしっかりと収め、悪事のない平和な村を築き、楽しく暮らしていきました。
おしまい