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人間にあこがれている狼男のお話。
夏でも長袖を着て、スカーフを巻いて、手袋をつけて、人間の街へ繰り出す狼男。ある日おばあさんを悪い奴らから助けると…
誰かのために頑張ることは、自分のためにもなるのだと学べます。
森の奥にひっそりと小さな家がありました。そこにすんでいる狼男は人間になりたくてしかたありません。ひげそりで顔の毛をそると、毛むくじゃらの体が隠せるように、暑い夏でしたが我慢して長袖を着て、首にはスカーフを巻きました。
さらに手袋を付けて麦わら帽子をかぶって、大きなマスクを付けて、サングラスをかけて…毎日たくさん着込んで街へでかけていました。 近くの公園のカフェで飲み物を買うと、いつも同じベンチに座って一休みしながら人間観察をするのです。
すると突然目の前で、おばあさんが悪い奴らに鞄を取られそうになっているではありませんか!狼男は急いで犯人に飛びかかり、耳元で「ガルルルル」というと、犯人は驚いて一目散に逃げていきました。
次の日、同じベンチに座っていると「今日の夜、銀行の金を奪うぞ」カフェの隣の銀行を指さしながら強盗がこしょこしょ話をしているのが聞こえてきました。家に帰った狼男は強盗のことが気になって仕方ありません。
でも、今日からしばらくの間は満月です。狼男は満月を見ると大きな狼となり大暴れしてしまうのです。狼男は悩みましたが「やっぱり悪いことはやめさせなくちゃ」月を見ないように、夜でしたがサングラスをかけて家を出ました。
いつもの公園につくと、強盗がカフェの前に集まっていました。「強盗なんてやめるんだ!」狼男が強盗に体当たりをするとその拍子にサングラスが外れてしまいました。月を見てしまった狼男はみるみるうちに大きな狼に姿を変えました。
そのあとのことは全く覚えていません。狼男は気がついた時には自分の家のベッドで寝ていました。顔も体も傷だらけです。「ううう、いったい何が起こったんだろう?強盗はどうなったんだ?」
狼男は服を着替えて急いで公園へ出かけると、みんなが噂話をしていました。「大きな狼がでたらしいわよ」「めちゃくちゃに暴れたらしいわ」「怖いわね」
狼男は窓ガラスがめちゃくちゃに割れたカフェを見て、自分のことが嫌になりました。「やっぱり僕は人間にはなれないんだ…」落ち込んだ様子で家へ帰ろうとしたその時「あのときはありがとう」この間、助けたおばあさんが目の前に立っていました。
「私は知っているわ。あなたは立派よ。悪い人から守るために頑張ったんだもの。きっといいことが起きるわ!」おばあさんはそう言うと、綺麗な虹色の飴が入った瓶をくれました。「え!どうして…!」と顔を上げると、おばあさんの姿はありませんでした。
その日の夜、家に帰った狼男はもらった飴を1つ口に入れました。すると、どうしたことか首の毛がポロポロ抜けるではありませんか。もう1つ部食べてみると今度は腕の毛が抜けました。飴を食べるうちに体の毛がどんどんとなくなっていくのです。
最後の1粒を食べると、大きな耳と大きな口が人間の耳と口になりました。「もしかして…!」おそるおそるカーテンを開けて満月を見てみましたが、思ったとおり狼の姿にはなりませんでした。なんと、狼男は本物の人間になれたのです。
「明日からは涼しい半袖を着よう。スカーフもいらない。もちろん手袋も。プールにも行ってみようかな。その前に、おばあさんを探してお礼をいわなくちゃ!」狼男は明日からの毎日を想像して、ワクワクしながら眠りにつきました。
おしまい