チャンネル登録:
お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
ホタルの生体について学べるストーリーです。
田んぼと畑しかないおじいちゃんの家があまり好きじゃないコウ君。お散歩に出かけると、キレイに光るホタルを見つけて…。 ホタルの生体について、おじいちゃんがわかりやすく教えてくれる物語。
コウ君のおじいちゃんの家は、山々に囲まれた自然がたくさんある場所にありました。でもコウ君は、田んぼと山しかないおじいちゃんの家に来るのがあまり好きではありませんでした。
「つまんないなー。早くかえりたいなー」つまらなそうにしていたコウ君を、おじいちゃんは散歩に連れ出しました。もうすぐ夏がやってくる季節の夕方。のんびりゆっくり歩いていると草むらや林から色々な虫の声が聞こえてきました。
だんだんと辺りが薄暗くなってくると、コウ君は草むらから聞こえてくる虫の声がなんだか怖くなってきました。「早く帰ろ!こっち近道だから!」パパと通ったことのある小川の方へおじいちゃんの手をぐいぐいひっぱりました。
近道を進んでいると、いつの間にかあたりは真っ暗です。すると突然コウ君が「わー!すごーい!」と言いながら走り出しました。「きれー…!」コウ君が見ている先にはピカピカと黄緑色の光を放っているホタルが沢山飛んでいました。
「おや、ホタルを見るのは初めてかい?」おじいちゃんの言葉にコウ君はうれしそうにうなずきます。「葉っぱの上で光ってる少し大きいのがメス、飛びながら光ってる小さいのがオスだよ」
おじいちゃんはそう言うと、一匹捕まえてコウ君の手にのせてあげました。手でそっと包むように教えると、コウ君は光るのをやめてしまったホタルをそっと両手で包みました。しばらく手の中をじーっと観察していると、ホタルはまた優しく光だしました。
チカチカピカピカゆっくりと光るホタル。他の虫の鳴き声に合わせて光っているようにみえます。さっきまで怖かった虫の声が、ホタルの光のおかげで素敵な楽器のように聞こえました。「お家に連れて帰ってもいい?」コウ君はホタルがどうしても欲しくなりました。
「ここに住んでいるホタルはね、キレイな水がないと生きられないんだ。だから逃してあげよう」おじいちゃんの言葉に、コウ君はしばらく考えてから寂しそうにホタルを逃してあげました。帰り道、おじいちゃんはホタルの話をしてくれました。
「大人のホタルはな、餌を食べないでお水を舐めるだけなんだ。それに、大人になると10日くらいで天国へ行ってしまうんだ。だからキレイな川にいさせてあげような。」コウ君はうなずきながら、ホタルって不思議な虫だなーと思いました。
家につくと、おじいちゃんは図鑑を出してきてくれました。そこにはホタルの事が書かれていました。ホタルはカブトムシと同じ仲間だということ、光るのは結婚相手を探しているからだということ。中でもコウ君が一番驚いたのは、卵から大人になるまで光っているということでした。
何日かして、コウ君は自分の家に帰ってきていました。ホタルの話を友達にしたコウ君。いつか自分たちが暮らしている街にもホタルが来て欲しいと願いながら、休みの日には友達と近くの川でゴミ拾いをするようになりました。
おしまい