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土用って?丑の日って?どうしてウナギを食べるの?土用の丑の日について大人も子供も学べる江戸時代のお話。
夏になるある日、太郎が街を歩いていると、うなぎ屋のおじさんが「暑いとうなぎが売れなくて困る」と落ち込んでいました。通りがかりの人に「土用の丑の日だから…」と提案されますが、太郎にはさっぱり意味がわかりません。太郎は土用とはなにか、丑の日とはなにか、丁寧に教えてもらいました。
むかしむかしの江戸時代。もうすぐ夏だという7月のはじめ、太郎は街をフラフラと歩いていました。するとうなぎ屋のおじさんがうつむいて店の前で腰掛けているのが見えました。
「どうしたの?」太郎が声をかけると「最近暑くなってきたもんだから、うなぎが売れなくて困ってんだ…」「夏はこってりしたうなぎより、さっぱりしたものが食べたいもんなー。」太郎とうなぎ屋は、一緒に考え込みました。
すると、「どうされましたか?」通りがかったおじさんが話しかけてきました。おじさんは、街で有名な発明家さんでした。そうと知らないうなぎ屋と太郎は、うなぎが売れなくて困っていることを話しました。
「今日は土用の丑の日だから、『う』のつく『うなぎ』を食べようと、みんなに言ってみてはどうだろう。栄養満点のうなぎを食べれば、きっと夏ものりきれるだろうってな。」それを聞いたうなぎ屋は「なるほどな!そりゃいい考えだ!」さっそく店の奥から紙と筆を取ってきました。
そんな二人のやり取りを見ながら太郎は「土用?丑の日?なんだそれ?」たくさんのハテナが頭に浮かびました。そんな太郎に気づいたおじさんは、土用の丑の日とは何かを教えてくれました。
「『土用』は季節と季節の間のことだ。これから夏になるだろ?春が終わって、夏になるまでの少しの間を『土用』って呼ぶんだ。」土用についてわかった太郎は、「丑の日は牛を大切にする日?」おじさんに聞きました。
「ちょっと違うな。干支ってわかるかい?」おじさんの質問に「知ってるよ!ね、うし、とら…ってやつでしょ?」太郎は得意げに答えました。
「そう、その干支に出てくる丑のことなんだ。」
土用の期間1日目に『ね』2日目に『うし』3日目に『とら』ってぐあいに干支を付けていって、丑がついた日を『土用の丑の日』って呼ぶんだ。」「へー!なんだか賢くなった気分だ!」太郎がおじさんにお礼を言うと、おじさんは立ち去っていきました。
うなぎ屋は早速『土用の丑の日はうなぎ』と紙に書いてお店に張り出しました。すると張り紙を見た人がどんどんお店に入ってきます。食べた人達は「いやーうまかった!夏にはさっぱりした魚が良いと思っていたけど、うなぎを食べたら疲れが吹っ飛んだよ!」みんな口々に言いました。
満足そうにお店を出ていく人達を見て「土用の丑の日にうなぎかー!こりゃ元気が出そうだ!」と、またお客さんが入っていきます。おかげでうなぎ屋は大忙し。近くで見ていた太郎も、忙しそうなうなぎ屋を見かねて手伝うと、あっという間に売り切れてしまいました。
「良かったね!」太郎が帰ろうとすると、「ありがとな!」うなぎ屋はこっそり取っておいたうなぎを太郎に持たせてくれました。「ありがとう!」太郎はうなぎ屋にお礼を言うと、急いで家に帰りました。
おしまい