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海の水はなぜしょっぱいのか?昔からの伝説のお話。
とても欲張りな兄と、心の優しい弟。ある日弟は困っているおじいさんを助けます。するとなんでも欲しいものが出てくると言う不思議な石臼をもらい…。
悪いことをすると、必ず自分に返ってくるというお話。
昔々あるところに、一郎と次郎という兄弟がいました。兄の一郎はとても欲張りな男で、弟の次郎はとても心の優しい男でした。
欲張りな一郎は、次郎に米を食べさせるのがもったいないと思うようになり、ある日隣の家へと引っ越してしまいました。それでも優しい次郎は、畑で野菜が採れると隣に住む一郎に、野菜を届けてあげました。
雪が降り続いた寒い冬。畑で野菜が取れなくなった次郎は、何も食べるものがありませんでした。「明日はお正月だってのに、食べるものがないなんて困ったなぁ…。」そこで隣にすんでいる一郎の家のとびらをたたきました。
「兄さん、お正月に食べるお米を少し分けてもらえないか?」すると兄の一郎はとびらも開けずにこう言いました。「お前に食わせる米なんて家にはない。悪いが家に帰ってくれ。」断られてしまった次郎は仕方なく自分の家へ帰ることにしました。
とぼとぼ歩いてると、途中で白いひげのおじいさんが岩に腰掛けていました。「どうしましたか?」次郎が尋ねると「道に迷ってしまってな…」おじいさんが困っていたので、次郎は一晩家へ泊めてやることにしました。
次の朝、おじいさんはお礼に小さな石臼をくれました。「右に回すと欲しいものがでて、左に回すと止まる、不思議な石臼じゃ。止めるまで欲しいものが出続けるから、気をつけて使うんじゃよ。」おじいさんはそう言って帰っていきました。
次郎は早速「お正月のご馳走!」と石臼を右に回してみました。すると、石臼からどんどんご馳走が出てくるではありませんか。驚いた次郎は慌てて石臼を左に回して止めました。「こりゃ食べ切れん。」次郎は目の前にある沢山のご馳走を、一郎の家へ届けに行くことにしました。
ご馳走を見た一郎は「これは一体どうしたんだ!?」目を丸くして次郎に訪ねました。次郎がおじいさんにもらった石臼の話をすると、一郎は羨ましくて仕方なくなりました。
なんとかしてその石臼を手に入れようと、その晩みんなが寝静まった頃に次郎の家へ忍び込みました。「これが話していた石臼だな。」一郎は見つけた石臼を盗み、船に乗って海へ逃げることにしました。
「これで追いかけてくることなどできまい。」一郎は石臼を手に入れたお祝いに、家から持ってきたまんじゅうを食べました。甘いものを食べた一郎は、次に塩気のあるものが食べたくなりました。そこで「塩よでろ!」と言いながら石臼を回してみると、どんどんと塩が出てきます。
「もういい!とまれ!」一郎はどんどん出てくる塩に慌てて言いますが、止め方がわかりません。そのうち塩は山のようになり、ついには船ごと海に沈んでしまいました。船と一緒に海に沈んだ石臼は、今でも海の底で塩を出し続けているのです。だから海の水はしょっぱいのです。
おしまい