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鯉のぼりやカブト、柏餅や菖蒲など、端午の節句のあれこれの意味を学べるお話。
弟が産まれたまなちゃんの家では、鯉のぼりやカブトが飾られました。まなちゃんの「なんで?」「どうして?」をママが優しく教えてくれます。
昔からの大切な意味のある行事には、知らないこともまだまだあります。大人も学べるお話です。
ポカポカ春のお日様が気持ちいい日。窓の外には初めて飾った鯉のぼりが、風でひらひらと揺れています。部屋では生まれたばかりのまなちゃんの弟がスヤスヤとお昼寝をしていました。そんな弟の横には、かっこいい兜がかざってあります。
「なんでこれかざるの?」まなちゃんは兜をじーっと見つめながらママに聞きました。「これはね、むかーしむかしに、体を守るために使っていたものなの。だから、子供が元気に大きく育つように守って下さいって意味でかざるのよ」ママは教えてくれました。
「これ、強そうだもんね!このお花はなんで?」まなちゃんは兜の隣に飾ってある紫のきれいな花を指さして聞きました。「これはね、菖蒲と言って、このはっぱを入れたお風呂に入ると、香りがとても強いから、病気とか悪いものを追い払ってくれるって言われているの。」ママは丁寧に説明しました。
「じゃあこれはなんで?」まなちゃんは外の鯉のぼりを指さしました。「鯉のぼりはね、どんなことにも負けない、強い子になってねーって願いで飾るのよ。」何でも答えられるママは、なんだか物知り博士のようでした。そんなママに、まなちゃんはまだまだ聞きたいことがたくさんあります。
「ずっと飾るの?」「ううん。5月5日までかな。『端午の節句』って言って、子供の日と一緒に、男の子のお祝いをするの。」それを聞いたまなちゃんはすこしがっかりして「子供の日は、なお君のお祝いの日になっちゃうの?」と口を尖らせながらほっぺをぷーっと膨らませました。
「昔はそうだったんだけど、今のこどもの日は、すべての子供の幸せを願う日だから、男の子だけお祝いする日じゃなくなったの。まなだって、雛祭りがあったでしょ?端午の節句もそれと同じ。男の子のお祝いと、女の子のお祝いと、子供みんなのお祝いの日があるのよ。」
ママは膨らんでいたまなちゃんのほっぺをぶしゅーっと潰して笑いました。つられたまなちゃんも一緒に大笑い。機嫌の直ったまなちゃんは、なお君の隣へ行き「お祝いたのしみだねー」と優しく頭を撫でました。
それからしばらくたった5月5日。兜の横には柏餅が飾られていました。「美味しそう!なんで飾ってるの?」まなちゃんは大喜びです。「柏餅はね、葉っぱに意味があるのよ。」
「柏の葉っぱは次の芽が出るまで、古い葉っぱが落ちないの。あなたたちがおじいちゃん、おばあちゃんになっても、その先もずっと家族が続いていきますようにって願いの意味があるのよ。」ママが教えてくれました。
するとなお君をだっこしたパパが部屋に入ってきました。「まなにもう一つ、今日の日の意味を教えてあげるよ。」パパはそう言いながら空を泳いでいる鯉のぼりを指さしました。「鯉のぼりの歌知ってるかい?」「知ってる!」まなちゃんは得意げに歌いだしました。
「やねよーりーたーかーいーこいのーぼーりー。おおきいーまごいはおとうさんー。ちいさーいひごいーはこどもーたちー。おもしろーそーおーにおよいーでるー♪」パパはニッコリ笑うといいました。「まなは気づいたかな?鯉のぼりには、お母さんがいないんだよ。」まなちゃんはびっくりして外の鯉のぼりを見つめました。
「お母さんがいないのには理由があってね、今日は、お母さんがおやすみできる日でもあるんだ。昔はこの日にお母さんがお休みをして、田んぼの豊作をお祈りしていたんだよ。」それを聞いたママもびっくり。
ママをみてまなちゃんが笑うと「今日はパパがはりきってがんばります!」パパはえっへんとしてみせました。美味しいご馳走をパパがつくり終えると、家族みんなでまなちゃんとなお君のお祝いをして、楽しく過ごしました。
おしまい