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お話・読み聞かせ , ehonly , えほんりー , 絵本 , 読み聞かせ
宝探しが大好きなさとる君とおじいちゃんの思い出を描いたお話です。
遊びに行くたび、宝の地図を書き、そこには必ずおやつが隠されている、という楽しい遊びを一緒にしてくれたおじいちゃん。
ある日病気で天国へ旅立ってしまいます。悲しくて泣いてばかりのさとる君。おばあちゃんから手渡された封筒には、何と宝の地図が入っていました。それをたどると、おじいちゃんからの手紙がありました。
一緒に遊んだ思い出が、二人のいちばんの宝物だったのです。本当の宝物とは何かが学べます。
さとる君とおじいちゃんはとても仲良しでした。さとる君は学校の帰り、近くに住むおじいちゃんの家に遊びに行くのが毎日の日課でした。
遊びに行くと、さとる君にはいつも決まってすることがありました。おじいちゃんが宝の地図を描いて、さとる君が探す『宝探し』です。宝のありかにはいつも、その日のおやつが隠されていました。
あるときはおじいちゃんの引き出しの中にお饅頭。あるときはテーブルの裏に袋にはいったお煎餅が貼り付けられていました。おはぎをおばあちゃんのタンスに隠したときには、あんこが着物に付いて、おじいちゃんはおばあちゃんにこっぴどく叱られていました。さとる君はそんなお茶目なおじいちゃんが大好きでした。
しかしある日、おじいちゃんが突然病気で倒れてしまいました。何度か手術もしましたが、しばらくしておじいちゃんは亡くなってしまいました。さとる君は大好きなおじいちゃんに会えないのが、辛くて悲しくて、毎日おじいちゃんの家に行っては泣いていました。
そんなさとる君におばあちゃんは「おじいちゃんから、さとるに渡してほしいって、封筒を預かっているのよ。」と言って、そっと封筒を渡しました。
さとる君が封筒を開けると、そこには宝の地図が描いてありました。いつものおじいちゃんの絵に、さとる君は涙で地図が見えなくなりました。しばらく泣いたさとる君は、涙を拭いて最後の宝探しをはじめました。
宝のありかは物置き小屋を指していました。さとる君が物置小屋へ入るとそこには小さな箱が置いてありました。
箱を開けると、1枚のメモが入っているだけで、あとは空っぽでした。「あれ?空っぽだ」そう言いながらさとる君は、メモを手に取り読み始めました。「さとるへ これが最後の宝だ。箱の中身が空っぽで、おどろいたか?お菓子が入っていなくて残念だったなー!この箱の中にはな、おじいちゃんとさとるの思い出がぎっしり詰まってるんだ。
思い出は宝だ。一緒に宝探ししたこと、ばーちゃんに怒られたこと、釣りをしたことも公園で遊んだことも、全部の楽しかった思い出をこの箱の中に入れておく。この箱を開ける時は、必ず目を閉じるんだぞ。目を閉じると、そこには必ずじーちゃんがいる。じーちゃんとさとるは、いつでも会えるんだ。さびしくなったらこの箱を開けてくれ。じーちゃんより」
読み終わったさとる君は、涙でぐしゃぐしゃの目をつぶって、おじいちゃんとの思い出を思い出していました。小さい頃からいつも一緒にいてくれたおじいちゃん。お母さんに叱られた時、一緒に謝ってくれたおじいちゃん。公園で毎朝逆上がりの練習に付き合ってくれたおじいちゃん。遊んだ思い出も、叱られた思い出も、目をつぶるとはっきりと思い出せました。
いろいろな思い出を思い出し、たくさん泣いたさとる君は「おじいちゃん、最高の宝物をありがとう。」そういってそっと箱をとじました。
おしまい