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すこし怖い顔のおじいちゃんと孫のりおちゃんとの、心温まる物語です。
寡黙で怖い顔のおじいちゃんはきっと怒っているのだと勘違いしたりおちゃんは、
おじいちゃんの家でご飯を食べる時はいつも緊張してしまいます。
しかし、おじいちゃんはりおちゃんの事が可愛くてたまらず、ただただ見つめていただけなのです。りおちゃんを怖がらせないために笑顔の練習をするおじいちゃん。孫を思うおじいちゃん、想像しただけでほほえましく、心が温まります。
りおちゃんは、パパもママも仕事で帰りが遅い日、おじいちゃんの家でよくご飯を食べました。でもりおちゃんはそれが嫌で仕方ありませんでした。
おばあちゃんの作るご飯は美味しいし、りおちゃんの好きなものを作ってくれていたので、嫌いな食べ物があるわけではありません。りおちゃんはご飯を食べるときのおじいちゃんが苦手だったのです。おじいちゃんは「いただきます」と言うと、何も話さず、もくもくとご飯を食べます。
あっという間に「ごちそうさま」を言うと、あとはりおちゃんのことを怖い顔でただじっと見つめました。りおちゃんはそれが気になって、楽しくご飯が食べられません。「お箸の持ち方間違ってないかな。」「ご飯こぼさず食べなくちゃ」そんなことばかり気にしていました。
「おじいちゃん怖いからご飯一緒に食べたくない…」ある日りおちゃんはご飯を作っているおばあちゃんに言いました。「どーしたの?なにかあったの?」おばあちゃんはびっくりした顔をして振り返りました。
りおちゃんがおじいちゃんがじっと見てくることが苦手なことを話すと、おばあちゃんはくすくすと笑い出しました。悩みを笑われたりおちゃんがほっぺたを膨らますと、おばあちゃんは笑いながらりおちゃんの頭を撫でました。「おじいちゃんがじっと見ているのは、お行儀が良いか悪いか見ているんじゃないの。
りおちゃんのことが可愛くてただじっと見ているだけなのよ。顔が怖いのは元からだから、許してあげて」おばあちゃんは言いながらまた笑いました。「おじいちゃん、怒ってるわけじゃないの?りおがお行儀わるくて怒ってるのかと思ってた」りおちゃんはおばちゃんの言葉にホッとしました。
その日の食事中、思い切ってりおちゃんはおじいちゃんに話しかけてみました。「おじいちゃん、怒ってるわけじゃなかったんだね!」すると、いつもムスッとしているおじいちゃんの顔がびっくりした顔に変わりました。おばあちゃんはとなりでクスクス笑いをこらえています。
「怒ってないよ」それだけ言ったおじいちゃんに代わって、おばあちゃんが話し出しました。「おじいちゃんもおばあちゃんもね、りおちゃんが美味しそうに食べる姿が可愛いの。一生懸命もぐもぐ食べて、慌ててお茶飲んで。嬉しそうに笑って。その姿を見ることが幸せなのよ。だからついついじっと見てしまうの。」
「ふーん。そうだったんだ!」りおちゃんはにっこり笑うと、また、美味しそうにご飯を食べ始めました。その日の夜、おじいちゃんは大好きなりおちゃんを怖がらせていたことを反省して、鏡で一生懸命笑顔の練習をしました。
次の日から、おじいちゃんはご飯の時に下手くそな笑顔をするようになりました。りおちゃんはその顔が大好きで、おじいちゃんの家でご飯を食べることも大好きになりました。
おしまい