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パン屋の子どもであるなおき君の、弟への思いあふれるお話です。
弟が生まれたなおき君は、そのためにお店を開けられないことに少し不満を感じていました。しかし、お兄ちゃんを頼りにしてる、というお母さんの言葉がうれしくて、お母さんの代わりにお店の手伝いを始めます。弟のことが可愛くて仕方なくなったなおき君は、兄弟パンを考案します。友だちのハナちゃんにも、兄弟パンを勧めるなおき君は、もう立派な頼れるお兄ちゃんです。
このお話から、兄弟の絆が学べます。
なおき君の家はパン屋さん。お父さんがパンを焼いて、お母さんが店員さんをしていました。同じクラスのハナちゃんは、なおき君の家のパンが大好きでした。でも、ここ何日か、お店が閉まっていました。
「どうしたんだろう…」心配したハナちゃんはなおき君に聞いてみました。すると「お店が閉まっているのはママが弟を産んだから。ママがお店に立てないと、働ける人が足りなくてパン屋さんができないんだ。弟なんかいなければ、いつも通り、みんなにパンを食べてもらえるのに…」なおき君はさびしそうに答えました。
ハナちゃんにも弟がいたので、なおき君の寂しい気持ちが何となくわかりました。「きっと、弟はなおき君のお家にきて、なおき君がお兄ちゃんでよかったって思ってるよ!ママも弟も、なおき君のことが大好きだと思うよ!」ハナちゃんは、自分が昔ママから言われたことを一生懸命なおき君へ伝えました。
なおき君は家に帰ると、ハナちゃんと話したことをママに伝えました。「ママもそう思う?弟は家にきて、ボクがお兄ちゃんで良かったかな…」なおき君が不安そうにママを見つめると、「ママもこの子も、なおきのことが大好きよ。なおきがお兄ちゃんで、この子は喜んでるに決まってるじゃない。」ママは弟をあやしながら、優しくほほえんで答えてくれました。
それからママはこう続けました。「なおきは立派なお兄ちゃんだから、頼りにしてるね」なおき君は「頼りにしている」というママの言葉をとても嬉しく感じました。その言葉を聞いたなおき君は、あることを思いつきました。
何日かして、ハナちゃんがパン屋さんの前を通るとお店が開いていました。覗いてみると、お店の中はお客さんでいっぱい。お客さんに混じってなおき君の姿も見えました。トレーを拭いたり、パンを袋に入れたり。なおき君は自分にできることはなんでも手伝っていました。
「なおき君すごいね!大人みたい!」そうお店に入ったハナちゃんが話しかけると、「ママがお店に立てるまで、僕が手伝うことにしたんだ。ママが僕のこと、立派なお兄ちゃんだから頼りにしてるって言ってくれたからさ。」なおき君はうれしそうに笑いました。
それから何ヶ月か経ったある日、ハナちゃんがなおき君のパン屋さんに行くと、相変わらずなおき君は忙しそうにお店を手伝っていました。「いらっしゃいませ!おすすめは兄弟パンです!」なおき君は元気いっぱい大きな声で叫んでいました。
ハナちゃんはお店に入り、大人のマネをしてなおき君に話しかけてみました。「兄弟パンってどれですか?」「こちらです!丸が2つくっついて焼いてあって、中身がそれぞれ違うんです。分け合って食べれるんですよ。」と、なおき君も楽しそうに大人のマネをして説明してくれました。
ハナちゃんがくすくす笑っていると、「このパン、僕が考えたんだ!弟のことが可愛くってさ。早く一緒に食べたくて考えたんだ!ハナちゃんも、弟と分けて食べるといいよ!」なおき君はそう言うと、忙しそうにカウンターへ戻っていきました。
ハナちゃんは「なおき君の弟は、なおき君がお兄ちゃんでよかたね。」そう思いながら、自分の弟と一緒に食べる兄弟パンを、トレーに乗せました。
おしまい