あらすじ…

頑張っているパパのお話です。

ママはお腹に赤ちゃんがいて入院しているので、代わりにパパが家事をしています。
パパは忙しくても、褒めるのはいつも自分ではなくママのことでした。
けれどママは、忙しくて気のまわらないパパに、つい怒って二人はケンカしてしまいます。ハル君はパパが頑張っていること、いつもママを褒めていることをママに教えます。ママはパパに謝り、仲直りしました。ハル君は頑張っている人にきちんと感謝することのできる優しい心を持ちました。

自分だけでなく、相手の頑張りを認めてあげることが大切だとわかります。

パパを褒めて（ぱぱをほめて）

ハル君のママのお腹には赤ちゃんがいる。ママは赤ちゃんが無事に産まれるよう病院に入院することになったので、今日からハル君とパパの二人暮らしが始まった。

ハル君のパパはパン屋さん。パパは朝のパンの配達の時間、ハル君を保育園に連れていき、午後の配達が終わると迎えに来る。それからハル君と一緒にママの病院へ行き、帰ってくると夕食の支度と掃除洗濯をした。パパはいつもバタバタと忙しそうだった。

夕食の時間、「パパは小麦粉と卵と牛乳をこねてパンを作る。でもママは空っぽのお腹から赤ちゃんをつくるんだ。ママはすごいだろ、奇跡だろ」とパパはよくママを褒めた。「ママってすごいね〜！！」ハル君もパパと一緒にママを褒めた。

ある日、病院に行くとママは寝ていた。ハル君はおとなしくママのベッドの横に座ってママの寝顔を観察していた。
するとパパが窓の外を見ながら「雨が降りそうだな〜…ハル、パパは洗濯物を取り込んでくるから、静かに待っててくれ」と言って、家に帰ってしまった。

暇になったハル君はTVのリモコンを見つけた。カラフルなボタンをいろいろ押しているうちに。スイッチが入ってしまったので、慌ててまたボタンを押した。でも、違うボタンを押してしまったのか消えなかった。焦ったハル君はいっぱいボタンを押してみた。

すると、廊下まで響く大きな音になってしまった。
ママはTVの音にびっくりして飛び起きた。看護師さんも大きな音に慌てて走ってきた。看護師さんに叱られて謝っているママを見ながら、ハル君は申し訳なさそうにベッドの影に隠れた。

しばらくするとパパが戻ってきた。パパは、ハル君を１人で置いていったことをママに叱られていた。その様子を見ながら、ハル君はまた申し訳なさそうにベッドの影に隠れた。

家に帰って夕食を食べていると、パパが「あーっ！！」と何か思い出した。びっくりしたハル君は、思わず牛乳をこぼしてしまった。「ごめんなさい…」ハル君がシュンとしていると「今のはパパが悪かった！」とパパは笑顔で床を拭いた。「ママの着替えを渡し忘れたから、これ食べたら病院行こうな」そう言ってパパは急いでご飯を口にほおばってママの着替えの準備をした。

ハル君も急いでご飯をほおばり、一緒にママの病院へ向かった。するとママは怒っていた。「どうして着替えを忘れるのよ…。もう赤ちゃん産まれるのよ？しっかりしてくれなくちゃ困るわ…。」ハル君はパパが毎日たくさん頑張っているのを見ていたので、ママの言葉をとても悲しく感じた。

「オレだって一生懸命頑張ってるよ！」そう大きな声で怒鳴ると、パパは着替えをママに渡して突然部屋を出て行ってしまった。「自分が忘れたくせに、なんなのよ…」ママはまだプリプリしている。ハル君はそんな二人をみてまた悲しくなった。「みんな頑張ってるのに…知らないのかなぁ…」

そこでハル君は、毎日パパがたくさん頑張ってることをママに教えてあげた。「パパってね、すごいんだよ！お仕事もして、ご飯も作って、お掃除もして、ママのお世話もするの！」ママはうんうんと聞いている。「それにね、いっつもママはすごいって褒めてるんだよ！」ママはびっくりした顔になった。「だからママも、頑張ってるパパを褒めてあげて！」そうハル君がお願いすると、ママの目に涙が溜まった。

少し経つとパパが部屋に戻ってきた。パパは「ママが不安な時にごめんな…」と申し訳なさそうに謝った。ママは「今、どれだけパパが頑張ってるのか、ハルから聞いたの。いつもありがとう。不安だからって怒ってごめんなさい。」とパパに謝った。ハル君が嬉しそうに二人を見ていると、パパとママが一緒にハル君をぎゅーっと抱きしめた。

何日かして赤ちゃんが産まれた。天使みたいだった。パパとママの忙しい毎日は終わらない。だからハル君も『赤ちゃんのおむつ持ってくる係』として、パパとママのお手伝いを頑張ることに決めた。

おしまい

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