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るりちゃんの、パパへの気持ちを描いたお話です。
仕事の都合で遠くに住んでいるお父さんとは1ヶ月に一度しか会えません。
なかなかパパと呼んでくれないるりちゃんに対し、
パパは寂しい気持ちを抱えながらも、るりちゃんに会いたかった気持ちを根気よく伝え続けます。3歳の誕生日、ひとつお姉さんになったるりちゃんは、初めてパパと呼べました。るりちゃんは恥ずかしかっただけで、本当はずっと前からそう呼びたかったのです。このお話から、離れて暮らしていても愛情は変わらないこと、家族の絆を教えられます。
るりちゃんのパパは仕事で遠くに住んでいました。人見知りのるりちゃんは、1ヶ月に1度家に帰ってくるパパにも人見知りをします。「るり、元気だったかー!?」パパが抱っこしようとしても、ママの後ろに隠れて、「あなたは誰?」というような顔でじーっとパパを見つめました。
パパはまだ1度も「パパ」と呼ばれたことがありませんでした。「ママ」や「じーじ」「ばーば」はいつも呼んでいたので「きっといつかパパも呼んでくれるだろう」そう思っていました。でもるりちゃんは、いつまでたってもパパを知らない人を見るように見て、抱っこすると泣きじゃくるので、心の中は寂しい気持ちでいっぱいでした。
でもパパはどんなにるりちゃんに避けられても泣かれても諦めませんでした。ご飯の時間や寝る前の時間、一緒にいられる時間は、るりちゃんにどんなに会いたかったか、いつもどんなにるりちゃんを想っているかを伝えました。るりちゃんはいつもキョトンとそれを聞いていました。
公園に行った時には、ママに抱っこされたるりちゃんとかくれんぼをしたり、鬼ごっこをしたり、たくさん遊びました。でも、いつも慣れ始めたころに、パパは仕事で遠くの家に戻らなくてはなりませんでした。
そんなもどかしい日々が続き、るりちゃんは3歳になりました。「るり、おめでとうー!」誕生日に駆けつけたパパと一緒に、みんなでケーキを食べてお祝いをしました。
その日の夜、寝る前にパパはるりちゃんにいつものようにお話をしました。
「るりはもう3歳なんだね。パパはとってもうれしよ。あんまり会えないから、パパのことすぐ忘れちゃうかもしれないけど、パパはいつでもいつまでもるりの味方だからね。」そう言って頭をなでました。
すると小さな声が聞こえました。「パパ…ありがとう。」るりちゃんが初めて「パパ」と呼んでくれました。嬉しくて嬉しくて、パパは思わずるりちゃんを抱きしめました。
「あのね…、ほんとうはずっと、『パパ』って呼びたかったの。
でもあんまり会えなかったから、恥ずかしくて言えなかったの。でもね、もう3歳のお姉さんになったから、今日からパパってちゃんと呼ぶ。」るりちゃんはそう言って恥ずかしそうに顔を隠しました。
パパはその言葉も嬉しくて、可愛くて、思わず涙がこぼれました。「るりは3歳の立派なお姉さんになったんだね。パパはとっても嬉しいよ。呼んでくれてありがとう。」そう言うと、パパはもう一度るりちゃんを抱きしめました。
おしまい