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ゲーム欲しさにお手伝いを始めたたつき君の気持ちの変化を描いたお話です。
ゲーム機を買うためには沢山のお手伝いが必要なため、毎日あらゆるお手伝いをするたつき君。次第に、お手伝いによってできることが増えてゆく楽しさに目覚め、本来の目的である、ゲーム機の存在を忘れてしまいます。
がんばったたつき君はめでたくゲーム機を買ってもらえましたが、お手伝いの楽しさに目覚めたたつき君はそれからもお手伝いを続けました。子供の好奇心と心の成長を巧みに表現しています。
たつき君には今とても欲しいものがありました。それはゲーム機です。入学したばかりの学校ではTVゲームが流行っているのに、たつき君はゲーム機を持っていませんでした。
たつき君は家に帰ると「お母さん、ゲーム買ってよ」とおねだりをしました。しかし「お手伝いのお駄賃を溜めて、自分で買いなさい」とお母さんからの厳しい返事。お手伝いでもらえるお駄賃は1回300円です。ゲーム機を買うには一体どれくらいかかるのか、たつき君には想像もつきませんでした。
でも、どうしてもゲーム機が欲しかったたつき君は、毎日お手伝いを頑張りました。庭の水やりに草むしり。お皿洗いの手伝いに玄関掃除。自分にできることはなんだってやりました。そのうちにできなかったことにも挑戦するようになり、野菜を切ったりゴミ出しをしたりしました。
いつもお母さんがやっていることを、自分でも少しづつやれるようになり、自信がついたたつき君はお手伝いが楽しくて仕方なくなりました。いつしかゲーム機が欲しい気持ちよりも、『どんなことに挑戦するか』が毎日の目標になっていました。
貯金箱にもたくさんお駄賃がたまっていましたが、たつき君は貯金箱が重たくなったことよりも、最近お母さんが作ってくれたお手伝いノートに、どれだけシールが貼られたかが気になって仕方ありませんでした。
そんなある日、お皿を拭くのを手伝っていると、ガシャーン!!お母さんの大切にしていたお皿を割ってしまいました。沢山お手伝いをしてきて、何でもできる気になっていたたつき君はひどく落ち込みました。「ごめんなさい」それだけ言うと、自分の部屋にこもってしまいました。
しばらくすると、「たつき、お手伝ノートのシール今日で溜まったよ。ご褒美あるから、お部屋からでておいで」「ほんと!?」お母さんの声に思わずたつき君は部屋から出てきました。
部屋からでると、テーブルの上にいつか欲しがったゲーム機が置いてありました。「あ!!ゲーム機だ!!」たつき君はそのときやっと、ゲーム機が欲しかったことを思い出しました。お母さんはその様子を見て「なんのためにお手伝いしてきたの〜」とクスクス笑いました。
次の日、たつき君はやっぱりお母さんのお手伝いをしていました。お手伝いがとても楽しかったので、しばらく続けることにしたのです。お手伝いのご褒美はお金ではなくゲームをやる時間になりましたが、たつき君はできることが増えるのがとても楽しみで、ワクワクした毎日を過ごしました。
おしまい